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2021年2月20日(土)

令和3年2月6日(土)アラカンカフェが開催されました

【画像】令和3年2月6日(土)アラカンカフェが開催されました

2周年を記念し、令和3年2月6日(土)当院心療内科部長の明橋大二医師を招いて「コロナ時代のメンタルヘルス~自分を大切に生きるために~」と題してアラカンカフェが開催され、多くの方にご参加いただきました。

【明橋医師】
アラカンカフェ=アラウンド還暦ということで還暦前後の人が対象ということですね。私も61歳でまさにアラウンド還暦です。こういう仲間に入れていただいたことを有り難く思っています。

今日はメンタルヘルスということでタイトルを付けました。このコロナウイルスは経済的にも社会的にも様々な影響を及ぼしていますが、メンタルヘルス(心の健康)という点でも影響が出ています。

この1年感じてきたことや、子育て支援に関わって得た知見も加えて話をしたいと思います。

7歳~17歳までの子ども、0歳~17歳までの子どもを持つ保護者
6,800人を対象に2020年6月中旬から7月下旬(コロナ休校明け)の時期にアンケートが実施されました。

・なんらかのストレス反応が見られた子ども72%

同じような調査が東日本大震災の時にも行われていますが、その時は43%でした。これは被災地以外の子ども達も含めています。被災地だけで取ればもっと大きなパーセンテージになったかもしれませんが、被災地以外の子ども達も含めたにしてはかなり高い確率でストレス反応が見られています。

その数字以上にコロナウイルスでストレス反応を示している子ども達が多いのです。孤独、イライラ、集中力低下、不眠、悪夢、自傷、爪噛み、赤ちゃん返りということも聞きます。

・コロナウイルスのことを考えると嫌な気持ちになる
・コロナウイルスのことを考えるだけで少し泣いてしまう
・人とすれ違うだけで怖い
・家族がコロナウイルスで死なないか心配
・大人はお酒を飲みに行けるのに子どもが集まって遊ぶのがダメなのはどうして?
・大人だけで議論しないで子どもの気持ちも聞いてください

などと自由記載欄に書かれていました。

「私たち(子ども)は問題の根源ではありません、私たち(子ども)は問題解決のために必要な資源です」

という言葉があります。
子どもに優しい街というのはすべてにとって生きやすい社会と言われます。
子どもが住み良い世界は私たち大人にとっても住み良い世界なのです。
同じように子どもの心が健康に育つ社会とは大人も健康な心で生きていける社会なのです。

特にコロナ時代に大切な3つのキーワードを紹介します。


【1】自分を大切に思う気持ち(自己肯定感)
【2】多様性(いろんな人達が居ていろんな生き方がある)
【3】ランキングよりリンキング(結びつき・絆)


【1】自分を大切に思う気持ち(自己肯定感)
自分は大切な人間で生きている価値がある。私は私でいいんだと認めることです。
これを土台としてしつけや生活習慣が身についてゆくのです。今までの教育はしつけが大事、勉強が大事と自己肯定感をあまり問題にしてきませんでした。土台が傷ついて、

・自分なんて生きている価値が無い
・いらない人間
・自分なんか居ない方がマシ

と思ってしまっている子どもが多いのです。自己肯定感が低い子どもにしつけや生活習慣を教えようとしても中々身につきません。身につくどころか言えば言うほど自己肯定感を下げてしまうのです。自分を大切にできない人が他人を大切にできるはずがありません。すべての土台にあるのが自己肯定感なのです。


【2】多様性(いろんな人達が居ていろんな生き方がある)
いろんな価値観や生き方があります。学びということでも学校に限らずフリースクールとか自宅学習とかコロナでのリモート授業というのも広がっています。働き方も同じで改革されています。


【3】ランキングよりリンキング(結びつき・絆)
1位になろうとか人より勝ろうということも大事ですが、それよりも大事なのが人と繋がることです。多様性の観点で見るとランキングをつけるのは意味が無いといえます。SMAPの「世界に一つだけの花」という楽曲がありますね。これはまさに多様性を歌ったものです。花屋さんに入ってどの花が一番きれいとか言わないでしょう。それぞれに美しい花を咲かせているわけです。

人は他人と比較してあいつに勝った・負けたと言っていますがこういう時代だからこそ人との繋がりを意識して考えていかなければならないと思います。

甘えと聞くと悪いことのように聞こえますが甘えを認めてもらうことで人への信頼や人を信じること、自分を受け止めてもらえること、自分がそれだけ価値のある存在だと思うことができます。とても大切な意味があるのです。

太い絆で結ばれていると聞くと少々のことでは切れないように感じますが、絆というのはすでにあるものではありませんので、お互いに努力しないと切れてしまいます。


私は自己肯定感を育むのに一番簡単で有効だと思うのは「ありがとう」という言葉だと思います。「ありがとう」という言葉は相手の存在価値を高める言葉です。自分のやったことが人の役に立てた、自分がここに居た意味があったと感じられるから嬉しいと感じるのです。

いろんな褒め言葉がある中で一番嬉しいと言われるのが「ありがとう」です。子ども達は大人から「ありがとう」と言ってもらえると嬉しいですが大人からはあまり言いませんね。でも子どもには求めますよね(笑)「ありがとうは?(笑)」

ここまで子どもの自己肯定感の大切さを話しましたが、子どもの自己肯定感を育てる時は親の自己肯定感も大切です。

飛行機の酸素マスクで例えますと酸素マスクがおりてきた時に子どもにつけるか大人につけるか優先順位はどちらだと思いますか?

だいたいの人は子どもを先につけると言いますがこれは間違いです。大人が先につけるのです。子どもにつけている間に機内が酸素不足になって大人が気を失ってしまったら子どもも助けることができなくなります。まずは大人が自分の酸素を確保してその上で子どものケアをすることが大切です。

同じように子どもを育てるには自分を大切にしなければなりません。自分が安全なところに立たないと他人を助けることができないのです。自分のケアをすることに罪悪感を持つ必要はありません。自分のことを褒めてくれる人をぜひひとりは見つけてください。褒め言葉のシャワーをたくさん浴びて自分のことを認められるようになれば、必ず相手のことも認められるようになります。

【画像】講演した心療内科部長の明橋大二医師
講演した心療内科部長の明橋大二医師

【画像】座長を務めた内科医師で副院長の刀塚俊起医師
座長を務めた内科医師で副院長の刀塚俊起医師


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