ドクター・イナダの歯科エッセイ

第6回 ~~ときめき記念日~~
世界的なセラミスト、山本先生編

世界的なセラミスト 山本眞先生が亡くなられました。。。。(´;ω;`)

2023年2月のことでした。

山本眞先生は、歯科技工士です。歯科技工士という職業は、冠を造ったり、義歯を作製したり、歯科医師が型をとったものを模型にして、患者さんのお口の中に入るものを製作する仕事です。

セラミックを使用して冠を造ることに定評があり、世界でも名を馳せた人でした。

みなさまの中にも、もの作りに関わっておられる方があると思います。
その道で、名を成し、世界的に認められるもの作りの職人となり、同時に同じ職の方々に研究で教示されるには大変な努力と才が必要であることは言うまでもありません。

先日、日本歯科新聞に【一意専心奮闘努力の人】という記事が載り、歯科技工士の山本眞さんが亡くなられたことを報じました。
世界的なテクニシャン(セラミスト)。一流の歯科医師とだけ取引され、セラミックをはじめとして様々な歯科技工を手掛けてこられました。
また、歯科材料の研究も続けてこられた人でした。

そんな方と縁あって大阪の勤務医時代に、一緒に仕事をさせていただきました。
40年ほど前のことです。

自分が、大阪で歯科医師として出発したばかり。最初に技工所に伺ったとき、たくさんの天然歯を見せてもらい、「先生、この中に3本だけ人工の歯(セラミック)があります。
見つけてください」と、いきなり試験がありました。((笑))

この中に3本だけ作り物の歯があります

天然の歯と山本先生が作られたセラミックの歯の区別がつきませんでした。
それほど、すばらしく、見分けられない歯を造られた方です。
(写真の中に3本の人工の歯があります)

山本先生が作られた歯を口に入れると天然の歯と区別がつきません。。。

人工の歯を作製する、技工のこだわりは、半端ではありませんでした。

先生の著書、「ザ・メタルセラミックス」は発売当時、セラミックのバイブルと言われ世界の名著となりました。
その著書「ザ・メタルセラミックス」を診療室で読んでいたとき、「先生、何読んでるの~」と来院された山本先生に笑顔で声をかけられ、おもわず、サインをいただきました。

患者さんを連れて、仕事場にこれから作製する歯の色を見てもらいに訪れたこともありました。

決して妥協を許さない方でもあり、また利他の心を実践される方でもありました。

私が富山に来てからも技工を受けてくださり、今日に至っています。
亡くなられてから、今は山本先生のお弟子さんに技工をお願いしています。
私の歯科医師としての成長を支えてくだされた方と感謝せずにおれません。

謹んで哀悼の意を表し、私も利他の心で診療に臨み、こだわりを持って歯科治療を行ってゆきます。

山本先生、ありがとうございました。

https://www.quint-j.co.jp/web/topic/topi.php?id=3383

上記は山本先生のことが記載された記事です。

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