病気と治療

眼科の病気と症状

眼内レンズ脱臼

眼内レンズ脱臼とは

白内障手術では、もともとある水晶体の代わりに眼内レンズを挿入します。(白内障
白内障は水晶体が濁る病気ですが、手術の時は水晶体をすべて取り除くのではありません。水晶体は、前嚢、後嚢、核、皮質からなり、白内障手術では、前嚢に丸い穴をあけて核と皮質を削りとり、嚢の中に眼内レンズを入れます。嚢はZinn氏帯に支えられていますが、そのZinn氏帯が弱くなってくると嚢を支えられなくなります。Zinn氏帯が弱くなり断裂し、眼内レンズが嚢と一緒に硝子体腔に落下した状態が、眼内レンズ脱臼です【図】。脱臼とは、元々ある位置から外れることです。完全には外れていない状態を、亜脱臼といいます。もともと、Zinn氏帯が弱かったり(高齢化、落屑症候群など)、外傷でZinn氏帯が断裂することにより発症します。

眼内レンズは網膜に焦点を合わせる働きをしているため、完全に脱臼すると、ピントが全く合わずぼやけて見えるようになります。痛みなどは生じません。亜脱臼の場合は、程度により見え方はさまざまです。

昔は比較的珍しい病気でしたが、最近は白内障手術の普及、高齢化などにより頻度が増えています。当院でもこの1年間で、40件以上の手術がありました。

【図】

治療

治療は手術であり、落下した眼内レンズを除去し、新しい眼内レンズを挿入します。その際、硝子体も切除する必要があります。手術は緊急で行う必要はありませんが、眼圧が上昇する人や、仕事や生活に支障がでる人などはある程度早めに手術を段取りします。

新しい眼内レンズは水晶体嚢の中に入れることができないため、別の方法で固定する必要があります。昔は細い糸を用いて縫着していましたが、強膜内固定法(強膜に直接眼内レンズのループを通して支える方法)の開発により、驚くほど楽に行えるようになりました。
合併症は硝子体手術と同じく、硝子体出血、網膜剥離、眼内炎などが生じえます。また、虹彩が障害されることもありますが、それほど危険な手術ではありません。

術後の見え方を理解することが大事です。
術後はおおむね元と同じように見えますが、どうしても眼内レンズの位置がずれたり傾くため、裸眼の視力は変わります。また乱視も増えることが多いです。その分は眼鏡で調整することになります。
眼内レンズ脱臼後は、裸眼視力は低下することが多く、眼鏡の作り変えが必要になる、と理解しておきましょう。

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