当院では、低濃度アトロピン(マイオピン0.01%、リジュセアミニ点眼薬0.025%)点眼を一日一回寝る前に点眼することにより、近視の進行を抑制する治療を行っています。
低濃度アトロピンとは、子どもの近視進行を抑制するために、アトロピン硫酸塩を低濃度(0.01%、0.025%)配合した目薬です。
近視とは、遠くがぼやけて、近くがよく見える目です。近視の多くは、眼軸長(眼球の長さ)が伸びることで、ピントの合う位置が網膜からずれて生じます。
眼軸長は、生後は短く、成長とともに徐々に伸びていきます。それに伴い、生後はみな遠視(遠くも近くもぼやける目)ですが、徐々に正視(遠くがよく見える目)に近づき、それ以上に眼軸長が伸びると、近視となっていきます。
眼軸長には遺伝、生活習慣ともに影響しますが、一度伸びた眼軸長は、戻ることはありません。そこで、眼軸長の伸びを抑えることが、近視の進行を抑制するために重要なポイントとなります。
低濃度アトロピン点眼は、眼軸長の伸長を抑制する効果があります。
2025年4月に、子どもの近視進行を抑制する目的で「リジュセアミニ点眼薬0.025%」が発売されました。
リジュセアミニ点眼薬は、日本で初めて国内生産された、近視進行抑制を目的とした目薬です。
これまで小児近視外来で処方されていたマイオピン0.025%と同様の薬です。
リジュセアミニ点眼薬の発売に伴い、マイオピン0.025%の国内販売が終了しました。
※マイオピン0.01%は引き続き取り扱い予定です。
これまで日本国内ではマイオピン0.01%とマイオピン0.025%が使用されていました。
アトロピンの濃度が高いほど、近視抑制効果が大きいことが報告されています。 その分、まぶしさや見えにくさなどの副作用が0.01%点眼薬に比べ生じやすい可能性があります。 ( 副作用については【低濃度アトロピンの副作用】をご覧ください ) また、濃度が高いほど中止後の戻りが大きいと言われています。
マイオピン0.01%では1か月分の点眼薬が1つの容器にまとまっています。
対してリジュセアミニ点眼薬では1回分ずつ容器にパッケージされ使い捨てとなります。
防腐剤を含まないため、一度開封したリジュセアミニ点眼薬は必ず破棄していただく必要があります。
※使用方法については処方前に視能訓練士が詳しく説明いたします。
薬品名 | マイオピン0.01% | リジュセアミニ点眼薬 |
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画像 | ![]() | ![]() |
アトロピン濃度 | 0.01%のみ | 0.025%のみ |
容器 | 30日分容器 | 1回使い切り容器 |
内容量 | 1箱1本 | 1箱30本 |
使用期限 | 1か月以内 | 3か月以内 |
対象外の可能性がある方
低濃度アトロピンは、日常生活で悪影響となる副作用がほとんどありません。
点眼後、一時的に以下のような症状が現れる可能性があります。
①アトロピンの散瞳効果によるまぶしさ
② アトロピンの遠近調節機能麻痺効果による手元の見えにくさや、ぼやけ
③不快感のあるまぶしさ、光のちらつき(グレア)
④まぶたの湿疹
国内承認のための臨床試験では ①5%以上 ②1~5%未満 ③④1%未満 に副作用が現れました。
①~③はアトロピン濃度が低いことにより、程度は軽く数時間で症状が治まることが多いです。
よって寝る前の点眼により、日中への影響は少ないことがわかっています。
低濃度アトロピン0.01%では、1年間で眼軸長の伸びを12%抑制したという報告があり、まぶしさの自覚をした方が5.5%でした。
低濃度アトロピン0.025%では、1年間で眼軸長の伸びを29%抑制したという報告があり、まぶしさの自覚をした方が18.5%でした。
(LANPスタディ)
2025年6月以降リジュセアミニ点眼薬®0.025%導入に伴い、下記料金に変更させていただきます。
治療費用(検査・診察・薬剤費用) | |||
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マイオピン0.01% | リジュセアミニ点眼薬0.025% | ||
初回治療費用 | 点眼薬1本 + 検査・診察 | 7,000円 | 7,500円 |
1か月後の治療費用 | 点眼薬2本 + 検査・診察 | 10,000円 | 11,000円 |
3か月ごとの治療費用 | 点眼薬3本 + 検査・診察 | 13,000円 | 14,500円 |
低濃度アトロピンの治療は自由診療です。健康保険や医療費助成制度は適応されません。
※3回目の治療以降は、3か月ごとの定期的な通院が必要です。