病気と治療

眼科の病気と症状

調節性内斜視

調節性内斜視とは

「調節」とは、近くのものを見るために、目の筋肉や水晶体の働きによりピントを近くに合わせることをいいます。調節の力が弱くなってくることを、老眼といいます。
調節をするときには、同時に「輻輳」も行います。輻輳とは寄り目のことです。近くのものを見るときには、少し寄り目になる必要があります。

強い遠視のお子さんは、物を見るために調節をする必要があります。その時に同時に輻輳が過剰に生じてしまい、内斜視となってしまうのが調節性内斜視です。調節性内斜視は真の斜視ではなく、遠視が強いお子さんが調節を過度に行うことにより、内斜視が生じてしまうものです。

通常、生後2か月から1歳の間に発症し、遠視は+2D以上あることがほとんどです。どれだけの強さで調節をするかで内斜視の状態も変わるため、斜視の角度や頻度には変化があります。
なお、出産後すぐでも、内斜視があるのは異常です(生後しばらくの軽度の外斜視はありえます)。「目の位置がおかしい」と思ったら、生後何か月でも、早めに眼科を受診するようにしましょう。

検査

乳幼児で内斜視を見た時には、まず調節性内斜視を除外します。
真の内斜視の場合、治療は手術ですが、調節性内斜視は斜視が問題なのではなく、手術をしてはいけないためです(後述しますが、眼鏡装用のみで治ります)。
調節性内斜視の診断は、①遠視があるかどうか、②遠視を眼鏡で矯正したときに内斜視が消失するかどうか、で行います。
子どもは目の力がとても強く、普通に検査しただけでは、正しい遠視の度数は測定できません。そのため、調節麻痺剤という目薬を使用し目に力が入らない状態にして、遠視の有無や程度を測定します。

調節麻痺剤には、アトロピンとサイプレジンがあります。
アトロピンは、目の力を完全に抑えることができ、正しい屈折を測定することが出来ます。ですが、目の周りが赤くなる、熱が出る、徐脈となる、などの副作用が生じ得ます。また効果が2~3週間続き、その間瞳孔が開いているのでまぶしく、調節することができないため近くの文字が読めなくなります。
サイプレジンは、アトロピンよりは調節を抑える効果が弱いですが、全身的な副作用がほぼなく(ただし多く点眼すると、ふらつきや精神症状の副作用が生じ得ます)、まぶしさや文字が読めないのは48時間です。

調節性内斜視のお子さんは、アトロピン点眼が必須です。なぜなら、点眼後の値を元に作成した眼鏡を装用しても、内斜視が消失しなかった場合、遠視の矯正が足りないのか、真の内斜視も重なっているのか(その場合、部分調節性内斜視といいます)の判断ができないためです。当院では、アトロピンを1日2回、5日間点眼してから、検査を行っています。

治療

調節性内斜視の治療は「眼鏡の終日装用」です。【図】
遠視を完全矯正することにより、調節をする必要がなくなり、内斜視とならなくなります。
最初は調節のために眼鏡が合わないように感じ、装用したがらないお子さんもありますが、やがて眼鏡があった方が見やすいということに気づき、自分から眼鏡をかけるようになります。それまでは、何回外しても挫けず眼鏡をかけてあげてください。眼鏡を外している時間があると、その時にまた調節してしまい、次に眼鏡をかけても合わなくなるため、寝る時と入浴時以外はずっと装用することが大切です。
中には眼鏡をかけさせることをよく思わない親御さんや祖父母、学校の先生などもあります。ですが、調節性内斜視のお子さんにとって、眼鏡は「見やすくするための道具」ではなく、「治療薬」と同等です。眼鏡をつけるままが治療なので、終日つけることが大切であり、もし理解を得られない方が周囲にあれば、眼科で医師から説明をしてもらうとよいでしょう。

【図:眼鏡を装用すると内斜視がなくなる】

眼鏡をしっかりと装用することが一番大事ですが、その上で「視力が育っているか」と、「内斜視の残存はないか」を確認します。
別ページで述べたように、斜視のお子さんで一番大事なことは、視機能がしっかりと発達しているかです。調節性内斜視でも、内斜している目が弱視となっている場合があります。その場合は、眼鏡装用に加えて、よく見えている方の目を隠して、弱視の目で見るアイパッチの治療が必要です。
また、遠視を眼鏡で完全に矯正しても内斜視が残る場合は、真の内斜視も合併していることになります(部分調節性内斜視)。部分調節内斜視では、斜視の程度により手術を検討します。

ときどき親御さんから、「眼鏡をいつ外せるようになりますか」という質問があります。
調節性内斜視そのものは、年齢を重ね、調節ができないようになってくれば消失します。
ただ、眼鏡は遠視を矯正するためのものであり、たとえ斜視とならなくなっても、遠視の状態で眼鏡なしで物を見ることは、目を酷使していることになります。遠視は目の長さの問題であり、成長とともに減少してくることは多いですが、眼鏡が必要ないほどになるかは人それぞれです。
調節性内斜視の治療の目標は、「眼鏡をなくすこと」ではなく、「眼鏡をかけた状態で斜視とならず、視機能も発達していること」と理解するようにしましょう。

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