病気と治療

眼科の病気と症状

重症ドライアイ

《写真:ドライアイが強いと、角膜の表面に傷がつき、違和感や見えにくさの原因となります》

「ドライアイ」は、涙の量や質の低下により、目の表面が乾くことです。
「目がしょぼしょぼする」「なんとなく目がかすむ」などの、目の不快感や見え方の異常が生じます。日本に約2200万人いると言われ、多くの患者さんが来院されます。

治療は、まずは目薬と目のケアを行います。
点眼薬には多くの種類があり、市販薬にも人工涙液などいろいろあります。病院の薬剤にも、その瞬間目を潤わせるもの(ヒアルロン酸)から、ドライアイそのものを改善していくもの(ジクアス、レバミピド)まで様々で、その人の症状などに応じて使い分けます。
また、目のケアとしては、マイボーム腺機能不全と同様に、眼瞼温罨法や眼瞼清拭などを行います(マイボーム腺機能不全)。

多くの患者さんが、上記の治療で症状を和らげ、付き合っていくことができますが、中にはこれらの治療だけでは症状が落ち着かない、重症なドライアイの人もいます。そのような場合、シェーグレン症候群などの涙が少なくなる病気がないかを確認します。その上で、対応としては、涙点プラグ、それでだめなら手術を検討します。

涙点プラグとは、涙の通り道の入り口(涙点)にプラグという蓋を挿入して、涙を目に溜める治療法です。外来で比較的簡単に行えますが、ドライアイが軽度な人に行うと、逆に流涙で困ることになります。また、プラグが涙点から脱落したり、稀に涙道の中に迷入してしまう場合があります。涙道の中に迷入すると、将来的に高頻度で涙小管炎を発症しますので、迷入したとわかった時点ですぐに摘出することが望ましいです。また、涙点プラグが合わず、違和感をずっと感じたり、感染を起こす人もあり、その時は除去する必要があります。

涙点プラグの一種にコラーゲンプラグ(キープティア®)というものがあります。ゼリー状のプラグであり、3か月でなくなってしまいますが、プラグのような違和感が少なく、プラグを入れた時にどうなるかのシミュレーションにもなります(効果は涙点プラグより少し弱いです)。

昔はプラグの脱落が多くありましたが、最近は涙点プラグも進化しており、脱落せず、挿入も比較的しやすいものが開発されています。ですがそれでも、涙点が大きくなってしまったり、脱落を繰り返し、涙点プラグを挿入できない人があります。

何らかの理由で涙点プラグが挿入できなくなってしまい、それでも点眼などでは改善しないドライアイに対しては、涙点閉鎖術を行います。手術で涙道を永久的に閉鎖してしまうもので、後戻りはできません。
涙点をターゲットに閉鎖することが一般的ですが、涙点は固い組織であり、また涙道内は鼻腔とつながっているため陰圧となり、再発が問題です。当院では、涙小管をターゲットとした、涙小管閉鎖術を行っております。手術は10分ほどで行え、今のところ再開通率は0%です。

ドライアイはよくある病気ですが、程度はさまざまであり、その程度に応じて徐々に治療を強めていくものです。
医師とよく相談しながら、自分はどこまで治療を強めていくのか、段階を追って治療していくとよいでしょう。

ページトップ