病気と治療

専門外来

緑内障

医療従事者の方へ

通常のトラベクレクトミー、トラベクロトミーに加え、エクスプレス®やバルベルトチューブ®を用いたチューブシャント手術も行い、どのような症例にも対応しております。
線維柱帯切開術も、トラベクトームや、谷戸式マイクロフック、i-Stent®やi-Stent inject W®を用いた低侵襲手術を行っております。5~10分の短時間で施行でき、白内障手術と同時に緑内障手術も行い点眼数を減らすと喜ばれる患者さんも多く、白内障治療の際、ご検討いただければと思います。

一般の方へ

緑内障とは

緑内障とは、眼圧の関与により目の奥の視神経が傷み、徐々に視野が狭くなってくる病気です。【図1】
40歳以上の人の20人に1人がかかり、日本の失明原因の第1位となっています。

現在、眼圧を下げることが唯一の治療法です。

緑内障の治療の基本は点眼薬であり、生涯の付き合いとなる病気のため、かかりつけ医を決め、定期的に通うことが重要ですが、点眼薬でも十分な眼圧下降が得られない場合、手術が必要になります。
手術はあくまでも眼圧を下げるものであり、緑内障を治したり、視野を改善するものではありません。

《緑内障とは》
緑内障とは
【図1】

緑内障の手術

緑内障の手術は、大きく分けて2つの手術があります。

「線維柱帯切開術」「濾過手術」です。

眼内には涙とは違う水(房水)があり、眼内で産生されては、目の前の方の出口(隅角にある線維柱帯→シュレム管→集合管)を通って眼の外へ出ていきます。【図2】
この房水が目の外へ出るのが何らかの原因で妨げられるため、目の圧(眼圧)が上がります。
ですので、緑内障の手術は、いかに房水を眼外へ出すか、という手術となります。

《房水の流れ》
房水の流れ
【図2】

房水が眼外へ出にくくなる大きな原因の一つが、線維柱帯の根詰まりです。
線維柱帯は網目状の構造をしており、ちょうど排水溝のように、根詰まりを起こしてくると、水の通りが悪くなります。
その線維柱帯を切開して、抵抗を少なくし、房水の流れをよくする手術が、線維柱帯切開術です。【図3】
線維柱帯の切り方にいろいろな方法・道具があるため、いろいろの手術の名前があります。

線維柱帯よりも奥で通りが悪くなっている場合は、それでは眼圧は下がらないため、まったく別の通り道を作成する必要があります。
そのような手術を、濾過手術と言います。
ただし、本来あるべきではない道を無理やり作る手術のため、濾過手術は手術後に合併症が比較的多く、また傷を治そうとする体の作用により通り道が狭くなってくることもあるため、その都度処置が必要となります。

総じていえば、線維柱帯切開術は、効果は弱めですが合併症も少ない手術、濾過手術は、効果は強いですが手術後の合併症も比較的多く、処置も生涯必要となりうる手術、と言えます。

《線維柱帯切開術》
線維柱帯切開術
《濾過手術》
濾過手術
【図3】

緑内障手術の進歩

近年、医療の進歩により、緑内障手術の低侵襲化が進んでいます。
当院でも、トラベクトームや谷戸式マイクロフック、ナイロン糸を用いた線維柱帯切開術、i-Stent®やi-Stent inject W®を用いた眼内ドレーン挿入術(チタン製の道具を線維柱帯に差し込み通り道を作る手術)を行っており、5~10分の短時間で手術が終えられます。
また、白内障手術と同時にそれらの手術を行うことで、点眼数を減らすことも可能です。

それらの低侵襲手術では眼圧が下がらない人には、より効果の強い濾過手術が必要ですが、エクスプレス®というステンレス製のチューブを用いてより合併症を少なくしたり、複数回の手術で通常の濾過手術が困難な人に対して、バルベルトチューブ®などを用いたチューブシャント手術も行っております。

特殊な緑内障

特殊な緑内障として、急性緑内障発作(急性閉塞隅角緑内障)があります。

もともと隅角が狭い人が、加齢で白内障が進行し水晶体が厚くなることにより更に隅角が狭くなり、ある時隅角が閉じて、急激に眼圧が上昇する病気です。【図4】
急に眼圧が上昇すると、痛みや嘔気が生じ、見えにくくなります。
数日間置いておくだけでも、大きな後遺症を残します。

その場合、緊急で白内障手術と、閉じた隅角を広げる手術が必要となります。
当院では、急性緑内障発作に対して、休日でも夜間でも対応しています。

「急激な痛み」「嘔気・嘔吐」「見えにくさ」の症状が出たときは、すぐにご連絡ください。

《急性緑内障発作》
急性緑内障発作
【図4】
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