病気と治療

専門外来

涙道

医療従事者の方へ

涙道内視鏡、鼻内視鏡を用いて、どのような涙道疾患にも対応しております。
また、TS-1などによる難治性の涙小管閉塞にも、ジョーンズチューブを輸入し、対応しています。
TS-1による涙道閉塞は急速に悪化することもあり、流涙症状を認めた時点で、早期のご紹介をお願いできればと思います。
涙道閉塞はもちろん、通水が可能な機能性流涙症例も、涙管チューブ挿入により症状が改善する場合もあり、流涙でお困りの患者さんがおられましたらご紹介ください。
難治性の眼脂も、涙小管炎が原因となっていることもあり、涙道内視鏡を用いて菌石の全摘出を行います。
先天鼻涙管閉鎖症は、当院では生後7か月頃までは自然開放を待ち、改善がなければ、涙道内視鏡を用いてブジーを行っています。
1歳6か月を超えると全身麻酔が必要となるため、生後6か月を超えても自然開放しない場合は、早めにご紹介いただければ幸いです。

一般の方へ

涙道とは、涙の通り道のことです。涙腺と間違われる方がありますが、涙腺は涙を作るところで、目の外側にあります。【図1】
涙道は目の内側にあり、涙点(入口)が上下にあり、涙小管、涙嚢、鼻涙管と通って、鼻の中に流れていきます。このどこかが詰まると、流涙症状が出ますし、場合により目ヤニも出ます。
当院では、涙道内視鏡、鼻内視鏡を用いて、どのような涙道疾患にも対応しております。

涙道閉塞症は、小児と大人で原因、治療が異なります。

《涙道の構造》
涙道の構造
【図1】

小児の涙道閉塞症(先天鼻涙管閉鎖症)

生まれる前の赤ちゃんは、涙の通り道の出口が詰まっています。
その出口が生まれる直前に開いて生まれますが、そこが開かずに生まれてくるお子さんもあります。それを先天鼻涙管閉鎖症といい、涙と目ヤニが生後からずっとあることが特徴です。【図2】
先天鼻涙管閉鎖症のお子さんのほとんどが、生まれる前に開くか、生まれてから開くかの違いだけで、生後1歳までに9割以上のお子さんで自然に開通します。

しかしそれでも開通しない場合、物理的に開けてあげる必要があります(ブジーと言います)。
1歳を超えると全身麻酔が必要となることもあるため、当院では生後7か月を超えても閉塞しているお子さんには、ブジーをしています。 当院ではより安全に行う為に、涙道内視鏡を用いたブジーを行っています。 一度診察してから改めて段取りすることになりますが、他院からの紹介であれば、事前に予約をお取りいただくことで、1回の受診で治療することが可能です。

《先天鼻涙管閉鎖症》
先天鼻涙管閉鎖症
【図2】

大人の涙道閉塞症

大人の涙道閉塞症の多くが、総涙小管と鼻涙管の閉塞です。【図3】
総涙小管の閉塞の場合は涙が多く眼脂は少ない、鼻涙管の閉塞の場合は眼脂が強いことが多いです。

涙道の手術は、閉塞場所により、手術方法が大きく異なります。
総涙小管の閉塞の場合、涙道内視鏡を用いて閉塞部位を穿破し、そのままだと高確率で再閉塞する為、シリコン製などの涙管チューブを1~2か月留置して治療します(涙管チューブ挿入術)。基本は日帰りで行っています。

鼻涙管の閉塞の場合、元の涙道が使えないことが多く、鼻から骨を削り、新たな通り道を作る手術を行います(涙嚢鼻腔吻合術)
その場合、局所麻酔で2日、全身麻酔で3日の入院で行っています。

《涙管チューブ挿入術》
涙管チューブ挿入術
《涙嚢鼻腔吻合術》
涙嚢鼻腔吻合術
【図3】

総涙小管の閉塞は、時間が経つほど難治となるため、治療をするなら早めが望ましいです。鼻涙管閉塞の場合、治療は手遅れとなることはありませんが、白内障手術などの目の中の手術の前には、治療が必要です。

それ以外にも、涙点など他の部位が閉塞していることもあり、その場合それぞれに応じて手術を行います。

最近、一部の抗がん剤で、難治性の涙小管閉塞を生じることがあります。特にTS-1という抗がん剤で生じやすいと言われています。抗がん剤による閉塞は、元の道がまったく使えないことがあり難治となること多いため、抗がん剤使用中の患者さんで流涙症状が出現した場合は、早期に眼科を受診するようにしてください。当院では、ジョーンズチューブ®というガラスの管を輸入して、手術を行うことも可能です。

涙、眼脂でお困りの方は、一度ご相談ください。

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