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2021年10月26日(火)

院内出張講座が始まりました

【画像】院内出張講座が始まりました

令和3年10月19日火曜日臨床倫理委員会主催の院内出張講座が第1回目として地域医療部を対象に行われました。

最初の講座は「倫理的問題を個人の悩みにしないために
               臨床倫理の基礎」

と題して倫理委員会の長久栄子看護師(緩和ケア認定看護師)が講師を務めました。

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(長久看護師)

今日は臨床倫理の出張講座で院内でも初めての試みです。臨床倫理の出張講座を始めた理由は”倫理”というものがわかっているようなわかっていないような曖昧なもので病院の現場において”倫理”というものは自分たちがどのように取り組んでいくのか基礎を知っていただくためのものであり、ソーシャルワーカーは日々倫理に抵触した関わりをされているので一緒に勉強してもらえるのを有り難く思います。

私たちにはそれぞれの職種ごとに倫理綱領があります。臨床倫理とは多職種含めて医療の現場で起こっていることにどう取り組んでいくかを扱っていきます。

倫理の「倫」は”人の道”=”人道(じんどう)”のことです。
人の道にかなったことが倫理的、それに外れたことは倫理的ではないと言われます。
端的に言えば、人殺し、契約の不履行、不倫などです。
倫理は人の道を安全に生活するための習慣ととらえていただきたいです。

■受精卵は人の命かどうか
■安楽死は人の道にかなっているのかどうか

人のことを物として扱うことがあります(ご家族の介護量、介護力を査定する場合など)。そういう考え方が必要な場合もありますが、その人のより良い生き方を考える時には物として見てはいけません。私たちは人を人として尊厳を持って見ている時と物として見ている時があることをまず自覚する必要があります。

成績で見る時は明らかに数値で見ています。あなたのことを尊重していますよ。と言いながら物として扱っている時があるのです。

人間の存在(命)はいかなるものでも目的のための手段にされてはなりません。

■人体実験
■誘拐
■(自分のワガママを通すための)中絶手術

身体拘束のマニュアルがあったとします。みんなで話し合ったマニュアルに遵守しているから本当はダメなことでもOKになってしまうのがマニュアルの怖さです。身体拘束は物として扱うということなので自立を阻害する行為です。これをあえてしなければならないのが病院という場所です。それは命を救うための治療をする場所だから最低限許されているのです。
福祉施設では許されていません。医療の現場だからやむを得ず拘束もあっても良いと言われていることを忘れてマニュアルがあるから行ってしまうのです。

(白いリモコンを例として)
白い四角いものと見る人も居ればリモコンと見る人もあります。すべての人が同じ方向から物を見ることはありません。同じように私たちはひとりの人間を様々な角度から見ていますが自分の知っているその人がその人のすべてと思っています。自分たちの物の見方を自覚しなければなりません。

倫理的な問題を個人の悩みにしないために、多職種で話し合うことが必要です。話し合う際の重要な視点が、自律尊重、無危害、正義、公正という倫理原則です。ひとりでモヤモヤ考えるのではなく、これは皆で検討すべきことだと気づいたら、倫理カンファレンスという方法があります。ぜひ相談してください。

【医療現場で倫理的な検討が求められる理由】
・当事者はそれぞれ認識している事実が異なる
・不明瞭なために生じる価値の衝突がある
・医療を受ける側の患者やその家族が医療に期待していることが多様
・患者や家族の医療への期待と医療従事者や医療機関ができることの差があるために
 生じる衝突がある
・医療の目的や善悪が医療者と患者、家族で異なる(医療の有益性と無益性)
・幸福と不幸の考え方に違いがある
・価値観が多様で情報が溢れている


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臨床倫理委員会からの案内

★臨床倫理を学んでみませんか?

 「臨床倫理」ってどういう事?普段の業務にどう関わってるの?
 「倫理的な悩み」って具体的にどんなもの?
 倫理の問題にうまく対処する方法を知りたい。
 意思疎通できないケースの意思決定支援はどうしたらいいの?


 令和3年1月に実施した「臨床倫理に関するアンケート」に
 多く寄せられた回答です。

 「臨床倫理」を難しく考えがちですが、
  身近に感じられる風土が真生会に根付けばと
 思い、院内出張講座を企画しました。



【目標】
 出張講座を受講されると、こんなことができるようになります。

 ・普段の業務に倫理の問題があふれていたことに気づきます。
 ・臨床倫理がすべての職種に必要であることが理解できます。
 ・臨床倫理に向き合う際の考え方(4分割法)が分かります。
 ・臨床倫理の問題を通して、意思決定支援がチームとしてできるようになります。
 ・アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とは何か。なぜ臨床
  倫理の視点が必要なのかを理解し、患者本人の意思決定能力を
  評価し、臨床倫理の視点、プロセスを通じて、患者にとっての
  最善を考え話し合って、意思決定支援ができるようになります。


【カリキュラム】
 テーマ
 第1回.臨床倫理の基礎~倫理的問題を個人の悩みにしないために~
 第2回.臨床倫理課題に対処するための方法
 第3回.終末期における臨床倫理~特に鎮静の倫理について~
 第4回.臨床倫理の視点から見たACP

【画像】第1回の講師を務めた長久栄子看護師(緩和ケア認定看護師)
第1回の講師を務めた長久栄子看護師(緩和ケア認定看護師)

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