病院長を対象とする「トップマネジメント研修(医師の働き方改革に関する研修会)」が中部ブロックとして令和3年11月24日(水)開催され、「自利利他」の理念に基づいた「働き方改革」と題して院長の真鍋医師が取組事例を講演しました。
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【真鍋医師】
真生会富山病院は「自利利他」の理念に基づいた医療、その実現を何よりも重視する病院になりたいと皆と力を合わせています。自利利他の精神とは他人を幸せにすることが、そのまま自分の幸せになる。だから、相手を幸せにしようという精神です。
10年前(2012年)の当院は看護師離職率という指標で見ると全国(11%)や富山県(7%)よりも高い数値でした。対策を進めなければならないと職員満足度調査を実施し、人事制度に関する課題が多いことが判明し人事制度の策定に着手しました。
等級ごとに期待される役割を定義し、役割基準に沿って評価し、評価結果が次の賃金に反映されるという3つの仕組みを連動させ、現在、運用を始めて4年目になりました。
次に病院と職員とのベクトルを合わせるため目標チャレンジ活動、いわゆる目標管理制度を始めました。病院の理念(ミッション=使命)を各部門・個人に落とし込んで個人が自分の目標に向かって頑張るままが法人の理念に向かっているという制度です。意外な効果としては病院が進む方向をしっかり示してくれることで安心して働ける・働きやすいと言ってくれる幹部が少なくないことでした。
月に2回全職員を対象に全体朝礼を行い、参加できなかった人向けに院長通信も配信しています。2013年10月1日から99号を数えています。
医師に対する働き方改革としては
・労務デジタル管理の開始
・フレックスタイム制
・自作電子カルテによる診療支援
・歩合給制度
・診療データの見える化による自律マインドの醸成
を実施しました。
全職員という目線で見ると理念の浸透がさらに必要と感じ、自利利他の精神をもう少しわかりやすくするため、「いつも自利利他の精神で、医療を通じて一人でも多くの人を幸せにすれば、必ず、医療者としての素晴らしい幸せを手にすることができる」と改め、こういう気持ちで頑張っていこうと皆に伝えました。
キーワードは”幸せ”です。人は誰かを幸せにできた時、もっとも幸せを感じることができる。と呼びかけて”幸せ”ということを全面に押し出した医療を目指しています。
病院の基本方針の一つも患者本位の医療を実践しますとなっていたところを患者の幸福を最も大切にする医療を実践します。と改定しました。
患者の幸福を最も大切にする医療とは
病気が治るかは大切。幸福になれるかどうかはもっと大切。
患者が幸福になるまであきらめない。
患者がもっと幸福になれるよう努力をやめない(=患者の幸福の最大化)
来る前よりも帰る時、より幸福に
ということです。
【職員の幸せを実現する福利厚生施策】
・鍼灸治療の無料提供
・仮眠室、職員浴室の整備
・トレーニングジムの整備
・24時間対応の冷凍食品庫
・誕生月お祝い会
・おやつ企画
・本採用職員への肉または米の贈呈
を行っています。
職員も自分たちから動いてくれるようになっています。近年、すごい豪雪でしたが、職員自ら就業時間前に集まって除雪を手伝ってくれました。皆、まず夜勤者の車の雪から除雪してくれます。日頃仕事では会話したことのない職員同士が笑顔で会話し合う素晴らしい光景です。
これらの取組で冒頭で示した看護師の離職率も年々下がり、最新のデータでは3%と、とても低い数値になりました。常勤医師数と総職員数も年々増加しています。
そして、自利利他の精神に基づいた医療で大切なことがもう一つあります。それが生命の尊さを知らされることです。当院では、「生まれて来てよかった。最高の人生だった」という思いになっていただくことに命の尊厳の意味づけをし、ひとりひとりの患者さんに、そう思っていただけるような医療を行っていきたいと思っています。
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