

成功不成功の分かれ目
知り合いの料亭の女将で、小さな料理旅館を一代で立派な
料亭にした人があります。
大きな借金の返済はたいへんだったでしょうという話題に
なった時、その人が言いました。
「借金はしたけれど、その返済に苦労したり、悩んだことは
一度もありません。借金はすべてお客さんが払ってくださる
んです。けれど、私の借金を私の代わりに払ってくださる
お客さんに、どうやって喜んでいただくか、また来ようと
いう気持ちになっていただくかには、365日、頭がしび
れる程、考えましたし骨身を削って働きました。それだけを
続けて来たら、借金も皆、なくなったんです」
普通、そのようなお店では、いかに美味しい料理を出すかを
考えますが、そこではそれだけでなく、薬膳の考え方を取り
入れ、客の体に良い食事まで工夫したそうです。採算よりも
相手のためになることをしようという姿勢が、また客に感動
を与えるのだと思います。
食事を提供してお金をいただく。ただ、それだけの行為で
すが、何を目的とするか。お金を儲けることを目的とするか、
お客さんに喜んでもらうことを目的とするのか、その心がけが、
成功不成功の分かれ目となるようです。
真生会も同じく。私達は決してお金を儲けるために医療を
行っているのではなく、真生会の医療を求めて来られた方々
に、いかに喜んでいただくか、それだけを考えて、日々、
努めねばなりません。
自分が得することばかりを考えれば、それは我利我利で、
その人は幸せにはなれませんが、相手の人が喜ぶこと(利他)
だけを考えて努めれば、それが自分の幸せ(自利)になる。
それが仏法精神(=自利利他の精神)です。
今日も外の寒さに負けない暖かさを院内に育みましょう。