

生命の平等と学問ということ
これからの医療者にとくに大切なものは生命観だと思います。
私達が日々、守ろうとしている生命をどのようなものと観るかです。
世の一部には、意思疎通ができず管からの栄養で生きている人の命を
軽く考えるような風潮があるかも知れません。
しかし、どんな状態になろうと、地球より重いという生命の重さは変わらないからこそ、
私達は医療に精魂を込めることができ、時間、お金、人をどれだけ投入しても
無駄であったという議論は出ないのだと思います。
身体的状況と生命の重さを関連付けるのは、経済的活動の多寡と幸福の大小が比例するという思いがあるからではないでしょうか。
経済の繁栄と幸福とは、次元の異なるものであるという認識こそ、医療者には必要な気がします。
体がどんな状況になったとしても幸せを感じ、人生を悔いなく全うしていただけるような医療やケアを実現できたら、素晴らしいと思います。
それには、学問と人の平等を教えられた福澤諭吉の言のとおり、よく学ぶことが大切です。
それぞれの立場で必要とされる学問を貪欲に追求してください。
その学問について、同じく福澤先生は、
「ただ文字を読むのみをもって学問とするは大なる心得違いなり」
学問とは机で学ぶことだけが学問ではない、現場で学ぶことも学問であると言われています。
ぜひ、多くの患者さんからたくさんのことを学び、成長して行きましょう。
学問という土台をもとに、どんな人にも、幸せを感じていただけるような医療を目指したいと思います。