

対等ということ
医療従事者と患者とは、互いを尊重する対等の関係にあります。
どちらが上でどちらが下ということはありません。
しかし、両者には援助する側、援助される側という役割関係も常に存在し、
上下関係と誤解する要因となります。
また、患者は心身の不都合と不安を抱えた弱い存在であること、
同時に私たち人間には弱者を見下ろす性(さが)があること、
これも上下関係を作る土壌となることを否定できません。
とくに高齢者は弱い立場にあり、介護認定を受けられた方は
援助がなければ、生活の質が保ちにくい方々です。
それらの方を見下ろしたりしていないか、
いつも振り返らねばならないと思っています。
私はそんなことはないと思っている人でも、まだ会って間がない高齢の方に
「タメ口」を使っていないでしょうか。
病気や老化で幼児程度に身体能力が落ちてしまった高齢者を幼児と同じように
見ていないでしょうか。
タメ口で話した方が適切な場合かどうか、よくよく考えて使うことが大切です。
戦後70年と言われる今日、私たちの幸せがあるのは、
高齢者の方々が汗と涙で平和国家日本を築いてくださったからです。
これらの方々を尊重し大切にする精神がなければ、
医療や介護は成り立たないことを私たち医療従事者、
介護従事者は深く理解しなければならないと思います。
最後に、
2011年に発刊された「99歳の詩人 柴田トヨ ~心を救う言葉~」より
【先生に】
私をおばあちゃんと呼ばないで
「今日は何曜日?」
「9+9はいくつ?」
そんなバカな質問もしないでほしい
「柴田さん 西条八十の詩は好きですか?
小泉内閣をどう思います?」
こんな質問ならうれしいわ