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院長通信

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二つの尊重

人の命の尊厳は最期の瞬間まで低下しません。

尊厳には「尊い」と「不可侵」という意味があります。

 尊いとは敬うべき大切なもの
 不可侵とは侵すことができないもの侵してはならないもの

ですから、患者さんがどんな状態になられても、その方の尊厳を
敬い大切に守って行くことが医療人としての務めです。

尊重という言葉があります。
字のとおり、尊び重んじ大切にすることです。

患者さんの思い・気持ち・自己決定は尊重すべきものです。

尊厳には変えてはならないという意味がありますが、
尊重すべきものは変えてはならないものではありません。

「透析をやめたい」という患者の意思は尊重されるべきものですが
変えてはならないものではではありません。もちろん簡単に変えたり
否定しては尊重しているとは言えません。

どのように患者の意思と向き合えば良いのでしょう。

それは、私たち医療者の良心を持って向き合うことです。

医療者の良心とは、患者の最善の利益のために全力を尽くそうという
心です。

「患者の自己決定」も尊重されねばなりませんし「患者の最善の利益の
ために全力を尽くしたい」という医療者の良心も尊重されねばなりません。

「透析をやめたい」という意思は尊重されますが、「透析を続ける
ことが患者の最善の利益になる」という信念も尊重されます。

二つのものが相反したとしても、互いを尊重しあう信頼関係が
あれば、共に納得できる結果を導き出すことは可能です。

その不可欠の信頼関係は私たち医療者が生命の尊厳をよく理解する
ことから始まります。

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