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院長通信

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平等の命

「命だけは平等だ」

誰しもが心から賛成できます。しかし、これを正しく理解し
行動するのはとても難しいことです。

命の平等を理解するため、命の差別を考えてみます。

命を差別する思想が優生思想です。それは「身体的、精神的に秀でた
能力を有する者の遺伝子を保護し、劣っている者の遺伝子を排除して、
優秀な人類を後世に遺そうという思想。障害の有無や人種などを基準に
人に優劣をつけようとする思想」です。

第2次世界大戦時、ナチスが行ったユダヤ人迫害がそれです。二度と
過ちは繰り返してはならないという人類の気持ちを込め、世界人権宣言
は制定されました。

しかし、2016年、相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件の犯人は
優生思想の持ち主でした。この恐ろしい行為と考えは断固、否定せねば
なりませんが、それは簡単ではありません。 

「能力で人を差別してはならない」と言われれば賛同はしても、私達が
住む社会や育ってきた環境は能力で人に優劣をつける構造になっている
のではないでしょうか。

その環境で生きている私達には無自覚のうちに、能力の劣る人を見下す
考え方が染み付いていることを否定できません。

自分で自分のことが満足にできなくなってしまわれた高齢の方にタメ口や
ぞんざいな対応が、つい出てしまったとすれば、そんな心が元になっていたと
反省して良いのです。

「命の平等」を実践するために大切なこと。
 上から目線の心と言葉と行動にいつも気をつけること
 自分はその人より本当に偉いのか考えること
 
人の価値は能力で決まるものではありません。ましてや、経済活動の多寡
などは一切関係ありません。

本当に大切なものを大切に守り抜ける医療人になりましょう。

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