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院長通信

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物語りの重要性

ナラティヴ(物語り)の重要性がわかる事例を
職員の方から教えてもらいました。

認知症の高齢の女性です。
「学校行ってくる」と、どこにも学校がない方向に
歩いて行ってしまわれました。

この情報しか知らないと「徘徊された。事故が起きない
うちに連れ戻さないと」と思ってしまいます。

しかし、そこにはナラティヴがありました。

その方は、実は小学校の先生でした。
そして、「学校に行ってくる」と行かれた先には、
その方が勤めた学校が確かにそこにあったのです。

そこは、その方が子供たちと過ごした人生の思い出が
いっぱい詰まった大切な場所だったのです。

同時にその街にもナラティヴがあります。走り回る元気な
子供達の声がこだまする光景が目に浮かぶ物語が。

ナラティヴの重要な要素は時間と言われます。

その方のその街の時の流れと共に形成されていた物語りに
気づく時、その方への関わりは180度変わります。

「連れ戻そう」ではなく「一緒に学校行きましょう」
「どんな学校でしたか」そんな語りに変わるのでは
ないでしょうか。

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