

命の尊さを知る意味
「病気が治らなくても、みんなが幸せになれる医療」
それを実現するためには、なぜ人の命は尊いのか、
その理由を一人一人が心から納得することが、とても大切です。
生命の尊厳について、世界の二人の哲学者が時を同じくして
同じ答えに辿り着いています。
・「人が自分の人生に価値を認められた、その時初めて人生は
尊厳をもつ」(アルント・ポルマン2014年)
・「『人間のいのちの尊厳』とは『生まれてきて本当によかった』
と思えるよう、生を全うすることができるために守られるべき
尊いもののこと」(森岡正博2014年)
これは、こう言い換えられると思います。
「生まれて来てよかった。最高の人生だった」という尊厳に
満ちた人生となるための命だから、人の命は限りなく尊い。
どういうことか説明します。
私たちが自分の過去を振り返る時、いろいろな期間で考えます。
今日はとても頑張った。
今月はダメだったな。来月はこうしよう。
今年は結構、充実していた。来年も頑張ろう。
様々な時の中で最も長い期間の振り返りが一生の振り返りです。
そんな、人生で唯一の振り返りで「生まれて来てよかった。
最高の人生だった」と言えるほど素晴らしい、尊厳に満ちた人生はない
という意味です。
ですから、生命の尊厳を実現する医療とは「生まれて来てよかった。
最高の人生だった」という思いになられるような医療を行うということです。
たとえ、病気が治らなくても、そう思えたら、どんなに幸せでしょう。
どうすれば、そのような思いになっていただけるか。
まず、私たちがそう意識することから始まります。