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病院からのお知らせ【お知らせ】2022年4月10日(日)

高岡整志会病院の中原慶亮先生にご講演いただきました

【画像】高岡整志会病院の中原慶亮先生にご講演いただきました

令和4年3月24日(木)高岡整志会病院の中原慶亮(なかはらけいりょう)先生をお招きして医師を対象に「ミャンマーと被災地:岩手県立高田病院を訪れて」と題してご講演いただきました。

中原先生は当院形成外科医の梅原康次(うめはらこうじ)医師の恩師で8年前に梅原医師をミャンマーの医療支援に導いた先生です。

ご自身も、元々ミャンマーでの医療支援を長年続けておられ、東日本大震災の際には、整形外科医が不在となった陸前高田に単身赴き、整形外科を立ち上げ、ご活躍されました。

ミャンマーでの医療活動は、すべてが日本人からの寄付によって賄われていることやごく簡単な血液検査はできますが、CTやMRIはなく、器材も不十分な中、使える物は何でも使って、できる限りのことをされていることも教えていただきました。

ご講演では下記の内容を中心に受傷した子ども達の写真も紹介されました。

■ミャンマーの紹介
ジャパンハートの紹介
■ミャンマーの人々が置かれている現状
■医療体制の問題(スタッフの不足、使用期限が切れた薬)
■陸前高田での活動

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【中原先生】

「ミャンマー、高田病院を「訪れて」」と題したのは私の本音を言うと海外支援やなにか支援を行う人はそこに”住むべき”だと思っています。そこの人間になって行う。ですが自分は行ったり来たりで中途半端ですからそういう言葉は使えないと思って「訪れて」としています。

海外医療を行ってみたいという方も居られると思いますが、国境なき医師団などは最低3ヶ月は居てもらいたいと要請されます。そうなると医者は仕事を辞めて行かなければならなくなりますが、ジャパンハートは何日でも良いよ。と言ってくれますので選びました。ただ、移動滞在費などは全て自費で本当のボランティアです。

ミャンマーでは熱湯や油などが入った鍋を床に置いて調理することもあるのですが、それにつまづいて受傷した少年少女が遠方から3日かけて治療を受けに来たこともありました。しかし、設備などの問題で治療ができず、そのことを伝えるととても悲しそうな顔をしていたのを思い出します。とても辛かったです。

手術をしていても停電することがよくありました。看護師さんがすぐに懐中電灯を出してくるのですが、日本では考えられませんね。海外で行う特別な技術はありません。報酬は微笑みだけです。

ご存知のとおり2011年(平成23年)3月11日に東日本大震災が起こり陸前高田市も被災しました。地震だけならまだ良かったかもしれませんが、津波も起こったので大変な被害が出ました。高田病院も4階まで浸水してしまいました。唯一の整形外科の開業医も津波で亡くなってしまったそうです。

私は陸前高田には給食でもあるのかと思って期待して行きましたが、そんなものは無く、来たからにはやるしかないので頑張りましたね。当初、3~4年居ようと思っていましたが生まれて初めての自炊なども経験し、2年で富山に帰ってきました。一緒に仕事をしていた人や患者さんと別れるのは寂しいです。

ミャンマーの状況を考えると日本は幸せだと思います。少し歩けば病院や医者があります。ミャンマーではお話ししたとおり3日かけて来るわけです。いまは携帯電話も普及しましたが以前は私達が帰ってから来院する人もありました。

私がミャンマーや陸前高田に行こうと思ったのはものすごい情熱があったから行っているわけではないのです。情熱があり過ぎるより「ちょっと行ってみよう」くらいがちょうど良いと思っています。その場所が好きということもあるかもしれません(東南アジア大好きです)理屈でこうだからこうするということではなく、まず”行く”ということが先行しています。

ですが、行くからには責任を持って対応しなければいけないので技術(テクニック)はつけなければなりません。自分の家庭も壊してはいけないので仕事も含め置かれている状況を整理した上で役に立つために行くのです。

陸前高田でボランティアにたくさんの方が来られていましたが、中には自分探しに来ているのではないかと思う方もけっこう居ました。ただ来ているだけで食べ物くださいと避難者からアンパンを貰っている人も居ました。

陸前高田の人もそこまでして来なくて良いから(自分の)家に居なさいよ。と言っていましたね。情熱はあって来たのでしょうが、なにもできないし、なにもできないから歌を歌いますと下手な歌を聞かされて困っていた住民の方も居ました(笑)

役に立つための技術があることも大事ですが、その前に自分の食べ物や水など生活するために必要なものは準備して来るのが大前提ですね。そうしないと逆に迷惑になってしまいます。そういうことができない人は無理して海外や被災地に行くのではなく身の回りで自分にできるサポートをした方が良いと思います。
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【画像】中原慶亮先生
中原慶亮先生

【画像】梅原康次医師
梅原康次医師


【画像】ご講演の後、別室にて一部の医師・スタッフと中原先生との懇談会が行われました
ご講演の後、別室にて
一部の医師・スタッフと中原先生との
懇談会が行われました

【画像】副院長で医局長の刀塚俊起(なたづかとしき)医師
副院長で医局長の
刀塚俊起(なたづかとしき)医師


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