
令和6年6月18日(火)、19日(水)、20日(木)、21日(金)アフリカ・ザンビア共和国からの視察団を再度、当院で受け入れました。前回は昨年の7月に院長を支える看護部長、事務長たちが来日し、当院にも3日間来られました。
■前回の内容
https://www.shinseikai.jp/info/detail1308.html2度の研修を経てザンビアでは目に見えて大きな変化が起きており、研修に行かれた方々以外からも「Jiri-Rita」の言葉をよく聞くそうです。
【18日】
・院長のビジョン、病院概要
・目標管理
・デブリーフィング
【19日】
・企画課業務概要(+職員満足は質疑対応)
・患者満足システム
・病院施設見学(Aチーム: 病棟薬剤管理、Bチーム:患者満足度)
・病院施設見学(Aチーム:患者満足度、Bチーム:病棟薬剤管理)
・病院施設見学(A、Bチーム:フロアマネージャーの動き)
・デブリーフィング
【20日】
・ブリーフィング
・薬剤管理
・マンスリーレポート
・診療材料管理
・病院施設見学(Aチーム: 薬局、Bチーム: 診療材料)
・病院施設見学(Aチーム: 診療材料、Bチーム: 薬局)
・デブリーフィング
【21日】
・ブリーフィング
・病院チームとの意見交換
というスケジュールで行われ、
意見交換会では下記のような感想や質問が出されました。
(一部ご紹介)
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【1】
真生会富山病院のスタッフが
とても幸せそうに働かれている姿を見ることができました。
そんなに幸せそうに働かれているのは病院の哲学である
自利利他の精神からくるものだと思いますが、
加えて一生懸命働かれている元はなんなのか、
それが知りたいです。お給料が大変良いのでしょうか(笑)?
経営がうまくいっているからでしょうか?
【回答】
自利利他の精神が病院の職員によく浸透しているから
だろうと思います。自利利他の精神というのは人を幸せにする
ことが自分の幸せだと教えられた精神ですので、
それを実際に実行することでほんとうにそのとおりだなと
誰でも実感できますから患者さんのために自分の仕事を通して
患者さんの喜ぶ笑顔を間近に見えるのでそのような雰囲気が
職員から出ているのだと思います。
【2(感想のみ)】
真生会富山病院でほんとうにたくさんのことを学ぶことができました。
とくに私が感銘を受けたのは、在庫管理や薬剤管理に関することです。
医療機器に関する調達でも大変スムーズに進められていて仕分けも
ゾーニングがしっかりできていました。準備の段階で品物をどこに
届けるということが確立されているのだと思います。
これがミスを防ぐ上で大切なことだと思いましたので
ザンビアに帰ったら仕分けやどこになにを届けなければならないか
整理して行っていきたいと思います。
【3(感想のみ)】
このような機会を得ることができて幸せでした。
病院の施設見学の中でとくに私が感動したのは
フロアマネジャーの方々の対応が素晴らしいなということです。
皆さんがその仕事に誇りを持っている、患者さんに対応する時に
いつも笑顔で対応されていました。
患者さんが座っているときに笑顔で接することによって
患者さんも幸せを感じるのだと思います。
ザンビアの病院でもフロアマネジャーの取り組みを始めましたが
実際に目で見たことをザンビアに残ってくれたみんなに
伝えていきたいと思います。講義の中でもありました「心」と「体」を
通して幸せを伝えていく、その元にあるのはホスピタリティと
皆さんに対するリスペクトがあるからだと思います。
データの管理についても学びが大きかったです。
毎月データを取ってそれを見える化していること、
それのおかげで問題がハッキリしてくる、また、さまざまな会議で
議事録がしっかり取られていました。そのデータは紙ベースではなく
デジタルで残っているので対象の誰もが見ることができる、
そういう議事録の残り方はとても良いなと思いました。
【4】
4日間で大変多くのことを学ぶことができました。
企画課の方で予算管理をしている、アクションプランを立てるだけでなく
予算管理をはじめいろいろな計画を立てていることがわかりました。
収益を増やすために、経営を安定させるためにどうしたらよいのか、
きっちりと予算管理の中でされていることがわかりました。
日本では医療保険制度が整っていてほとんどの人が医療の保険に入っていると
聞きました。ザンビアでは皆保険制度ができておらず、
保険に入っている人は20%~30%ほどしかありません。
日本で皆保険制度が整ってきたのはどういう経緯であったのか、
政府の方針があったのでしょうか?
【回答】
日本の国民医療保険の制度は第二次世界大戦で日本が負けて
戦後復興の中で国民皆保険だと掲げて国民100%保険に入る制度を
作ろうと政府が整えていった制度です。
【5】
医療保険制度が整うということは保険料をしっかり払ってくれるから
成り立っているのだと思います。ザンビアでは政府とか公的な機関に
勤めている人はもちろん100%医療保険に入っていますが
そうでない人は入れていない人が多いです。収入が少ない人でも
保険に入れてこのように長い間、継続できている仕組みを教えてもらえない
でしょうか。
【回答】
「どのように」の前になぜ日本で皆保険制度ができたのか「考え方」の
部分ですが、日本では困っている人を助ける精神
(仏教精神も関係していますが)というものが
根本にあると思います。医療保険制度の根本的なものとしては
若い人が高齢者を支える、所得の多い人が少ない人を支える、
健康な人が病気の人を支えるといったさまざまな「助け合いの仕組み」
があると思います。所得の低い人は保険料も低く、高い人は高い保険料を
払っています。いざ自分が病気になったら助けてもらえるという安心感から
自分もきっちり払っておこうという気持ちはみな持っていると思います。
保険料を回収する仕組みとしては会社員の場合ですが、
給与から天引きされますので、自動的に払っている状態になります。
そうでない場合は市町村から支払いの催促が届きますので
払わざるを得ない日本の制度があると思います。
補足ですが、そういった方針の元で最初は自己負担がありませんでしたが、
少子高齢化で働く人が減ってきて患者さんの自己負担も増えてきています。
今後の日本の課題は若い人が減り高齢者が増えていくので医療費をどのように
カバーしていくのか、賄っていくのかだと感じています。
【6(感想のみ)】
真生会富山病院ではいろいろなレポート、報告のシステムが出来上がっている
と思いました。タイムリーに作成され、記録として残されていることが
高い品質を持った医療サービスに繋がっているのだと思いました。
ザンビアの病院では記録する、報告するという意識を持ったスタッフが
少ないですが、真生会では皆さんがその意識を持っていると感じました。
こういう意識を高めるということをザンビアにも持って帰って報告する、
議事録に残すということを行っていきたいと思います。
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贈り物



病院から折り鶴のプレゼント

この4日間皆さんが一生懸命学ばれている姿を拝見して大変感動しました。日本とアフリカは遠い国で行き来するには時間がかかります。そんな遠い国からこの日本に来られるという熱意というものが大変素晴らしいものだと思います。ザンビアの病院でフロアマネジャーを導入されたそうですが最初はうまく浸透せず、案内メッセージを入れたジャケットを作られたと聞きました。学んだことをすぐに導入するだけではなく、より良い工夫をオリジナルに加えられてとても素晴らしいなと思い、皆で喜んでいます。

ザンビアからの研修を受け入れてくださり本当にありがとうございます。感謝を申し上げたいと思いますし、まず温かいおもてなしを受けたこと、非常に嬉しく思っています。私たちが研修・交流する場として真生会富山病院を選んでくださったこと、とても嬉しく思っており期待を高く持っています。いろいろなものを学んで帰りたいと思っております。

病院概要について
事務長の吉田からプレゼン

企画課業務とマンスリーレポートについて
企画課課長の中神からプレゼン

患者満足システムについて
PTS推進室室長の山田からプレゼン

目標管理について
経営企画部部長の濱名からプレゼン

外来見学

病棟見学

薬局見学

診療材料見学

自利利他について
地獄と極楽の箸を題材にした
有名な譬え話で説明

積極的に質問されていました