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各科からのお知らせ【看護部】2025年12月13日(土)

腎透析センターの森田茜さんが研究発表をしました

【画像】腎透析センターの森田茜さんが研究発表をしました

令和7年11月29日・30日、第28回日本腎不全看護学会学術集会で、腎透析センターの森田茜さんが研究発表をしました。森田さんに聞きました。

Q. 発表のテーマは「自閉症スペクトラム障害を有する末期腎不全患者・家族への腎代替療法選択の心理的変化への支援」と伺いました。参加者の反応や質疑応答などで印象に残っていることはありますか。

A. 主に2つの質問をいただきました。1つ目は、「看護介入で自動腹膜透析装置を使用する際、台車を使用したとのことですが、どのような台車だったのでしょうか。自宅での段差などに不都合はなかったのでしょうか」という質問でした。患者さんがパニックにならないよう、コンセントを抜くだけという最低限の手技でトイレに行けるように工夫したことをお伝えしました。

2つ目は、「家族の気持ちをカテゴリー化した際、怒りなどはなかったのでしょうか」という質問でした。自閉症だからと移植病院などに断られた際は、怒りというよりも驚きが大きかったようで、ご家族は「びっくりした」と言っておられました。自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ末期腎不全患者さんの腎代替療法についての発表だったため、他施設の看護師の方々と、透析導入の難しさとASDへの関わりの難しさについて話をしました。


Q. 森田さんは、腎代替療法専門指導士と慢性腎臓病療養指導看護師の資格を持ち、CKD(慢性腎臓病)看護相談を担当しているそうですが、どのような資格ですか。

A. 慢性腎臓病療養指導看護師は、慢性腎臓病をもつ患者さんとそのご家族に対して、専門的知識と技術を用いて、多職種と連携しながら療養生活を支援することを目的としています。また、慢性腎臓病看護の質向上のため、看護職に対する教育的活動や、慢性腎臓病療養指導看護師同士のネットワーク作りなどの社会的活動にも取り組んでいます。CKD看護相談では、CKD保存期の患者さんへの療養指導をしています。患者さんの生活やCKDと診断されたことへの思いを聞き、その方が大切にしていることを尊重しながら、今できることを目標として患者さんと共有する看護相談を心がけています。その他に、看護師・栄養士・薬剤師が取得できる腎臓病療養指導士という資格もあります。腎臓病療養指導士が専門的知識を用いて指導することで、透析を予防することが目的です。透析にならないよう、今ある腎機能を維持できるよう患者さんと話をしながら、一緒に取り組めるように看護相談を行っています。

また、診療報酬では「慢性腎臓病透析予防加算」が算定できるようになり、専門的知識を活用し多職種と連携しながら取り組んでいます。


Q. 看護の視点を持った腎代替療法専門指導士としての強みを活かして、今後の課題や展望を聞かせてください。

A. 腎代替療法専門指導士は、慢性腎臓病の保存期で通院している方から透析導入となる方、また透析を導入された方に対しても関わっています。透析治療という延命治療ともいえる治療を選択する苦しみを、患者さん自身が語れるように関わることを大切にしています。看護相談では「透析という言葉を聞くのも嫌だ」「透析はしたくない」と言われる患者さんが語られる心の内面に目を向けられるよう、日々の研鑽を活かして看護しています。

また、慢性腎臓病患者さんの緩和ケアについて、国が動き出しています。今までは緩和ケア病棟に末期の慢性腎臓病患者さんは入院ができませんでしたが、今後は対象となれるよう、次回の診療報酬改定で見直される方針です。それに合わせて、当院でも慢性腎臓病のACP(アドバンス・ケア・プランニング)や緩和ケアにも取り組んでいきたいと考えています。

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