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対応分野・医療機器のご紹介

漢方外来について

漢方薬や鍼灸の適している病気
  • 西洋医学では異常のないさまざまな症状
    (不定愁訴、体の不調や体力低下、冷え性など)
  • アレルギー疾患
    (アトピー性皮膚炎、慢性鼻炎、花粉症、喘息など)
  • 心身症、神経症など
  • 薬物治療では効果のない痛みや凝り
    (偏頭痛、リウマチ、線維筋痛症など)
  • 女性に特有の症候
    PMS(月経前症候群)、月経不順、更年期障害など
  • 不妊症、男性不妊
  • 慢性腎臓病、慢性肝炎、高血圧、糖尿病など長期管理の必要な病気
  • 現代医薬品の副作用の軽減
  • 原因不明の症状
    (不眠症、慢性疲労、むくみ、めまい、耳鳴りなど)
真生会漢方外来の特徴
  • 保険診療と自費診療があります。
    ※保険診療:医療保険が使用できます。
     自費診療:症状に関する検査等を含め全額自己負担となります。
  • 保険診療では保険診療の病名に基づいて適応のある漢方エキス製剤を処方いたします。ただし、保険診療の適応範囲内での治療は既成のエキス製剤を用いるため漢方医学的に症状に応じた十分な治療ができないことがあります。
  • 院内併設の鍼灸院にて鍼灸治療を受けることが出来ます。
    現代医療、漢方薬、鍼灸を併せた新しいカタチのトータルケアが可能です。
漢方自費診療の特徴
  • 当院では、経方医学にもとづく漢方診療をより効果的、効率的に実施するためにIPCD法による漢方外来を自費診療で提供しています。
  • 一般的な漢方医学で用いるエキス剤よりも生薬の特性を引き出せる煎じ薬は、内服するまでの手間ひまがかかり定期的に長期継続することが難しい欠点があります。当院では、茶葉で緑茶をのむ感覚で簡便に生薬製剤を内服できる熱湯薬末浸漬法(IPCD法;Immersing Powdered Crude Drugs法)を導入しております。
  • 当院がIPCD法を用いて治療を行っているのは慢性腎臓病、耳鳴り、がんの支持療法、不妊症、原因不明の浮腫、慢性蕁麻疹など多岐の症状、疾患となります。自費診療の漢方治療は、オンライン診療(と薬剤の発送)を積極的に行っておりますので、富山県内や北陸地方をはじめ全国各地の患者さんにご利用いただいております。
IPCD法の主な特長は以下のように考えられています
  1. 煎じ薬よりも簡便で短時間に効率よく薬効成分を抽出できます: 熱湯を使用することで、薬末の浸漬が容易に行えます。また、 熱湯は有効成分の抽出を促進し、より効果的な薬効成分の取り出しを可能にします。さらに、 高温の熱湯を使用するため、抽出時間が短縮され、より迅速な処理が可能です。
  2. 生薬使用量が煎じ薬の約1/6となり安価で安全性、信頼性の高い方法です: 効率的に抽出できるので薬剤量が制限できます。また、熱湯は一般的に容易に入手可能なので、比較的低コストに抑えることができます。物理的な処理であるため、化学的な副作用のリスクを減少させます。熱湯薬末浸漬法は、古くから伝承されている伝統的な抽出方法であり、その信頼性が高いとされています。

受診の流れ

1. ご予約

まずはお電話にてご予約ください。
詳しい日時は直接ご確認ください。

2. 受付

初診時のみ「初診受付」「問診票のご記入」が必要となりますので予約時間の30分前に総合窓口へお越しください。
かかりつけ医の紹介状・お薬手帳・検査データなどは受付時にお渡しください。
外来診療を受ける方へ「受付方法」

3. 問診票のご記入 ※初診時のみ

直接症状とは関係ないと感じられる質問もありますが、漢方医学的診断に必要ですので可能な範囲でご記入ください。

4. 検査

血圧・体組成の測定を行います。
必要に応じて血液検査を行う場合があります。 ※他院かかりつけ医の検査データをお持ちの方はご持参ください。

5. 診察

漢方専門医より詳しくお話を伺い、漢方医学的診察(脈診・腹診・舌診)を行います。

6. 漢方薬の調剤

漢方医の処方によりおひとりおひとりに合わせて漢方薬を調合します。
煎じ薬・丸薬など処方に応じて飲み方を丁寧にお伝えします。
処方内容により多少お時間をいただく場合があります。

7. 会計

会計は現金または各種クレジット、電子マネーにてお支払い可能です。

診察間隔の目安

治療効果の判断、経過の確認が必要なため、原則毎回診察を受けていただきます。
遠方の方、お体の不自由な方で長めの受診間隔をご希望の方はご相談ください。

不妊治療に対する漢方療法

心身のバランスを整え妊娠・出産に向けての体の土台作りが漢方の役割
こんな人にオススメ
  • 妊娠に向けて体調を整えたい
  • 昔から生理不順
  • 冷え性
  • 不妊の原因がわからない 等

当てはまるという人は漢方療法をぜひお試しください。
漢方治療で体調を整える、生理不順を改善するだけで自然に妊娠してしまう人が少なくありません。

なぜ不妊に漢方が効くの??
漢方医学=本来持つ働きを回復

漢方医学は生理不順などの症状だけではなく、全身の状態を細かく診察していき現れている症状の原因を改善することを目標とします。そうすると現代医学でいう血液循環・自律神経・内臓機能・ホルモン分泌・精神状態など全身の機能がスムーズに働くように調整することができます。したがって全身状態が良くなることで生理不順や冷え性が改善し自然妊娠にいたるケースが多いのです。

漢方薬は様々な働きの生薬の組み合わせ

漢方薬に使用される生薬には植物が多く用いられます。植物は自ら動くことができないので、栄養を効率よく蓄えるため、動物・病原菌・温度や日差しなど外敵から身を守ります。
また繁殖に必要な虫を呼び寄せることから、味・色・香りなど様々な成分を作り出し、長い年月を生き残ってきました。
その作用を経験的に利用しているのが生薬です。
漢方薬はその生薬を組み合わせることにより、複合的に調和のとれた効果を生み出しているのです。

体のサインを見逃さない
月経不順

女性にとって月経は子宮の状態を正常に保つためになくてはならないものですが、毎月大切な「血」を失う原因でもあります。ただでさえ消耗の原因があるのにも関わらず不規則な生活やダイエット、ストレスなどで負担をかけてしまうと、身体は月経を止め、体を守ろうとします。このような体のサインに気づかずにホルモン剤で強制的に月経を起こせば更なる消耗を招いてしまいます。
漢方医学において月経は生殖機能と関係の深い「腎」、気・血と関係の深い「肝」・「脾」という臓と妊娠・出産と関係の深い「任脈」・「衝脈」という経絡とがうまく調和することで月経が起こるとされています。先に説明した消耗はこの調和を乱している状態なのです。この原因に対する治療ができるのが現代医学にはない大きな強みと言えます。このように漢方治療により本来持つ生理機能である月経を正常に回復させることができるのです。

現代医学でも証明された漢方の女性ホルモン調整効果
漢方薬のホルモン調整作用

漢方の古典である『金匱要略』婦人雑病脈証篇の『温経湯』という処方の条文には、「亦主婦人少腹寒えて、久しく受胎せざるを主る」(女性で下腹部の辺りが冷えてなかなか妊娠しない症状に使うとよい)とあり約2千年前から不妊症の治療に漢方薬が使われていたことがわかります。
近年では漢方薬の服用によりゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)の分泌改善効果が報告されていて無理なダイエットなどによる月経不順や無月経、排卵障害なども回復させることが明らかになっています。女性ホルモンに対する漢方薬の効果の素晴らしい点は自然の周期に回復させることです。
例えば多嚢胞卵巣は黄体形成ホルモン(LH)値が高くなりバランスが崩れている状態ですが、漢方薬の服用により他のホルモン分泌にはあまり変化はなくLH値が下がり本来の値に改善されることが報告されています。

体に合った漢方薬を
不妊に効くと友人に勧められた漢方は飲んでもいいの?

一般的に不妊治療のファーストチョイスと言われているのは『温経湯』
「経」を温めるという名前も持つこの処方ですが「経」とは漢方医学でいう気血の流れる通り道のことです。月経にも「経」が使われているように滞りなく流れるのが良い状態といえます。この「経」を温め、消耗してしまった気血を補いめぐりを良くしてくれる『温経湯』は不妊症だけでなく生理不順、更年期障害など様々な婦人科疾患に効果のある代表的な漢方薬と言えます。
しかし同じ不妊治療で飲んでも効果の出る人と出ない人がいます。
この違いは何でしょう??
冷えが強い、血の巡りが悪い、ストレスが強いなど同じ治療目的であっても、人それぞれ体質も環境も違いますので、既成の漢方薬ではすべての人に対応することは難しく個人に合わせた処方が必要です。真生会漢方外来では保険診療では扱えない生薬を含め、品質を吟味した生薬を数多く取りそろえており、おひとりおひとりの体調や症状に合わせた細やかな対応が可能です。個人に合わせた漢方薬の方が症状の改善への早道と言えます。

不妊と冷え性

漢方では冷え症は色々な病気を引き起こすとされています。冷えにより血流障害だけでなく胃腸の働きも低下し消化吸収が不十分になり、特に女性は月経不順や月経困難症などトラブルが起こりやすくなります。婦人科系のトラブルに処方される漢方薬には体を温めて血流をよくするものが多く、冷え性が改善されたことで妊娠できた症例も多くあります。

不妊治療への漢方アドバイス

不妊治療をすでに受けている方も今から始めるという方もどの段階でも始められ、並行して治療が可能です(※) 。治療においては漢方薬を飲むだけではなく以下のような生活習慣の改善を心がけることで漢方薬の効果が十分に発揮されやすくなります。

※不妊治療での主治医の治療方針により異なりますので必ず事前に主治医の確認了承を得てください。

生活指導の一例
  • 夜更かしを控え十分な睡眠をとる
  • 大豆製品、赤身の肉、魚など良質なたんぱく質をしっかり摂る
  • 運動や鍼灸などでストレスの発散と気血のめぐりを良くする
代表的な処方例
桂枝茯苓丸・当帰芍薬散 など
活血作用(血流改善効果)があり、月経期は不要な経血をスムーズに排泄し子宮をきれいにし、排卵期には血液循環を促し排卵をスムーズにします。
六味地黄丸
生殖機能のアンチエイジング効果、補陰作用(各臓器を補い潤いを与える作用)により子宮内膜増殖作用と卵胞の成熟を助けます。
八味地黄丸
生殖機能のアンチエイジング効果、補陽作用(体を温め根本の生命力を補う生殖機能賦活作用)により受精卵の着床と妊娠の継続を助けます。
女性だけじゃない不妊治療
男性不妊

不妊症は女性のものだけではありません。男性に原因がある場合が約半数と言われています。治療への参加に躊躇したり、周りへ相談しにくいなど男性不妊ならではの悩みもあります。

男性不妊の主な悩み
  • 女性ばかりの婦人科に一緒に行くのは躊躇してしまう
  • 仕事が忙しくてなかなか受診できない
  • 妻に任せきりでなく自分も協力したい
  • 周りに相談できない

過労や精神的ストレスが大きく関わっている場合も少なくはありません。例えば、仕事で残業が続いて疲れている、職場ストレスが多い、妻からは子どもが欲しいとプレッシャーを感じる、日頃から疲れやすく性欲がわかない、食欲がないなどの症状は漢方では「虚労(きょろう)」(心身ともに衰え弱っている状態)として体力を補い根本の生命力を回復するための治療をしていきます。そして漢方の特徴的で重要なことは同じ環境で生活する夫婦同時に治療をするということです。

男性不妊に対する代表的な処方例
桂枝加竜骨牡蛎湯
疲れやすい人、過労やストレス、不規則な食生活などにより体力消耗している人の勃起障害(ED)・多汗症・不眠症・円形脱毛症などに主に用いられます。
柴胡加竜骨牡蛎湯
イライラ・緊張など精神症状が強い人の勃起障害(ED)に用いられます。ドキドキ胸苦しさや憂うつ感、不眠、神経症、更年期障害などにも効果があるとされます。
補中益気湯
胃腸機能が衰え、全身倦怠感、食欲不振、日中の眠気、寝汗などの症状がある人の勃起障害に用いられます。体力増強をはかり、全身状態を改善する効果があります。
八味地黄丸・六味地黄丸
女性の不妊症でも紹介しましたが、男女ともに「腎虚」(根本の生命力の消耗、生殖能力の衰えた状態)を回復する効果があり男女とも不妊症に用いられます。
子育てしながらの不妊治療
ふたり目不妊

悩んでいる方が意外に多いのが「ふたり目不妊」です。ひとり目はすぐにできたのにふたり目がなかなかできないという場合があります。

ふたり目不妊の原因
  • ひとり目の出産時(帝王切開など)の影響
  • ひとり目の妊娠時・産後の体調管理が不十分
  • 年齢が上がったことによるホルモンや生殖機能の変化(夫婦共通)
  • 育児や仕事のストレス
  • 育児に追われ不規則な食生活・睡眠不足
  • 夫婦生活の減少
  • 両親、義両親、親戚など周りからのプレッシャー

機能性不妊症(不妊検査をしても原因がわからないこと)が多く一般的な不妊治療をしても妊娠しないことが多いです。
ひとり目の育児ストレス、ママ友との関係、不妊治療通院時の一時保育の問題や育児費用と治療費のダブル負担などふたり目不妊ならではの悩みもでてきます。様々な要因、特に精神的なストレスによって女性ホルモンは影響を受けやすくバランスを崩し、卵巣や子宮の働きを低下させる原因となります。
漢方は「心身一如(しんしんいちにょ)」(心と身体は一体である)という考えのもと、ストレスなど目に見えない心の問題により身体に現れたトラブルを心も含めて治療ができる医学です。心身ともに健やかな状態にすることが妊娠への近道になると言えます。

プレママの体調管理にもおすすめ
妊娠中の漢方

妊娠は病気ではないと言われますが、漢方の古典である『金匱要略』には婦人妊娠病脈証篇という項目があり妊娠においてのトラブルや安胎のための処方が記載されています。
「婦人懐妊し腹中㽲痛するは当帰芍薬散之を主る」(妊娠中にお腹がシクシクと痛む症状に当帰芍薬散を用いる)と記載があります。また、「婦人妊娠、常に服する宜し、当帰散之を主る」(妊娠したら常に当帰散を服用するのが良い)とあり安胎の目的でも漢方薬が飲まれていたのがわかります。平安時代に書かれた日本最古の医学書にも図のように月数ごとに赤ちゃんの生育状態と養生法が書かれています。
漢方医学的には妊娠すると胎児の生育のために母体は陰血(身体を養い潤すもの)不足になります。そしてお腹の胎児を守るため、本来は身体の表面で外邪(病気の原因)の侵入を防御している衛気(体を守るバリア)の働きがおろそかになり体調を崩しやすくなります。悪阻(つわり)・便秘・浮腫み・腰痛・お腹の張りなど妊娠によって生じた症状の改善、母体の体調維持管理、だけでなく安胎の目的にも様々な漢方処方があります。
最近では漢方薬の効果の認知度が高まり漢方専門でない産婦人科でも妊婦さんの悪阻(つわり)に『小半夏加茯苓湯』、浮腫みに『五苓散』、切迫早産に『柴苓湯』などというように対処療法として医療用漢方薬が多く用いられるようになりました。
また、毎日できるお灸をすすめる産院も多く、特に逆子にはお灸が効果的です。

妊娠中にとりたい生薬
当帰(とうき)
セリ科の植物の根、日本では奈良産が良品とされます。
血を補い気血の流れを促し痛みを止める働きがあり、月経不順・月経痛・産前産後の様々な症状に主薬として用いられる婦人科のエキスパートといえます。
昔から当帰は安胎の目的で妊娠中に服用することで羊水の量や質が整い元気な赤ちゃんが産まれるといわれています。
妊娠中に薬剤を投与する場合の一般的な注意

漢方薬とはいえ薬ですので、妊娠中に飲んでもいいの?と思われる方も少なくないと思います。一般的な医薬品と漢方薬の使用においては以下のような記載があります。
「薬剤はできる限り単剤を必要量投与し、効果が得られたら中止する。薬剤によって胎児に影響を及ぼす時期や内容は異なる。(中略)漢方薬では妊婦に慎重に投与するように添付文書に記載があるが、催奇形性のものではなく、催奇形性を認めた報告もない。」 東京産婦人科医会臨床メモNo.1「妊婦への薬剤処方の考え方と実際」('95,9月刊)より

妊娠中に注意すべき生薬

漢方薬に催奇形性が報告されていないといっても全て安心とは言えません。不妊治療には必要で効果の高い処方でも妊娠時に影響する可能性がある生薬が含まれる可能性があります。例えば、血流改善効果の高い、桃仁・牡丹皮・紅花・牛膝などは妊娠初期には流産などの危険性、また、大黄・芒硝などの下剤は子宮収縮作用があります。
勝手な判断での服用は避け医師の診断指導のもと適切な漢方薬を服用することをおすすめします。

油断禁物、産後の肥立ち
産後の漢方

辛い陣痛、出産をやっと乗り越えたと思えばと休む間もなく育児の日々が待っています。全身の倦怠感、微熱など風邪に似た症状、筋肉痛や腱鞘炎、精神的不安定などこの時期に体調を崩す人も多いです。しかしここで無理をしてしまうと体調不良が長引いたり、さらに悪化する原因にもなります。元気に育児をする為にも無理をせずにきちんと体調を整えることが必要不可欠です。
漢方の古典である『金匱要略』婦人産後病脈証篇に出産直後に起こりやすいトラブルとして「痙病」、「鬱冒」、「大便難」の3つがあげられています。痙病とは筋肉の痙攣(けいれん)、鬱冒(うつぼう)とはうつ状態、大便難とは便秘のことで、大昔も現代も産後の不調はあまり変わらないということです。
なぜなら原因は出産により大量に「血」(通常、血液のように臓器や筋肉などに栄養を送り補い、潤すもの)失うことによって起こる症状だからです。妊娠中に足がつったり便秘になるのもお腹の赤ちゃんに「血」を送るため母体の「血」が不足している為ですから、妊娠中にこのような症状がある人は「血」の不足が起こりやすく産後も特に注意が必要です。

産後の代表的な漢方薬
芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)
産後の衰弱、貧血、出血過多、悪露(子宮や産道が妊娠前の状態に戻るときに排出される分泌物)の停滞、発熱、めまいなど産後の諸症状を改善する処方です。
産後の滋養と抜け毛、肌荒れにとりたい生薬
阿膠(あきょう)
ロバ、ウシの皮を水で煮てとれるにかわ(ゼラチン)コラーゲン、アミノ酸が豊富で、血を補い潤いを与え出血を止める働きがあります。
出血過多、貧血、肌荒れなど産後だけでなく使用でき女性の強い味方といえます。

慢性腎不全に対する漢方療法

現代医学的な腎臓の働きは余分な水分を取り除き、老廃物を排出するために、尿を生成することですが、漢方医学的な「腎」の働きとはイコールではありません。慢性腎不全の原因として現代医学的には慢性糸球体腎炎、糖尿病、高血圧など様々な要因があげられます。
現代医学でも治療が難しいとされる慢性腎不全ですが、京都の江部医院院長・故江部洋一郎先生により考案された『養腎降濁湯(ようじんこうだくとう)』という処方により腎機能が改善した症例が報告されています。
江部先生は、傷寒雑病論から「経方医学」を提唱され、その理論に基づいて養腎降濁湯を考案されました。慢性腎不全にみられる様々な症状は経方医学的に「濁の過剰」と捉え、この過剰な濁を身体の中の過剰な水とともに下降させて去る降濁(こうだく)機能を改善する治療を行います。腎臓病に対する直接的な作用を目的とする治療ではなく、漢方医学的な診断のもと先述の降濁機能を改善するなどの治療を行うことで結果的に腎機能の改善や慢性腎不全で起こりやすい浮腫みや痒みの改善につながると考えられます。

『養腎降濁湯』
  • 晋耆(しんぎ)
  • 芍薬(しゃくやく)
  • 土茯苓(どぶくりょう)
  • 萆薢(ひかい)
  • 丹参(たんじん)
  • 半夏(はんげ)
  • 栝楼仁(かろにん)
  • 甘草(かんぞう)
  • 茯苓(ぶくりょう)
  • 白花蛇舌草(びゃっかだぜっそう)など

以上のような生薬が主に使われます。全身の状態、その他の症状、病態によって処方の量やその他の生薬を加え調節していきます。

養腎降濁湯の効果
血中のクレアチニン値を下げる効果

服用開始1ヶ月で改善が見られた報告がありますが、血中クレアチニン値が高いほど効果発現に時間がかかります。また、クレアチニン値が2以上の場合には悪化を防ぎますが、改善には至らない場合もあります。

全身状態・顔色が改善する

全身倦怠感、食欲低下、吐き気、むくみなどの全身状態が改善し元気になるだけでなく、腎疾患特有の皮膚が黒っぽくなる状態が改善されるとの報告があります。漢方医学的にいう「腎」と黒という色は関係が深いとされ黒ずんだ顔色が改善するのは「腎」のはたらきが正常化している証拠とも言えます。但し、進行が急速な場合、クレアチニン値が高値の場合など効果が得られにくいことがあります。

現代医学的治療との併用
カリウムについて

漢方薬は植物由来のものが多く、カリウムが含まれているものもあります。しかし服用すると血中のカリウムが高くなるということはありません。慢性腎不全の場合、血中のカリウム値が高くなる傾向にあります。養腎降濁湯に含まれる「甘草」は「腎」を保護する作用と用量依存的に血清カリウム値を下げる働きも報告されていますが、専門医の判断のもと検査値に基づいて処方の調整が必要です。

「黄耆(おうぎ)」と「晋耆(しんぎ)」

  • 黄耆(おうぎ)
    医療保険内生薬

  • 晋耆(しんぎ)
    医療保険外生薬

元の植物は異なりますが、どちらも同じ用途で使用される生薬です。
補気(体のエネルギーを補う働き)薬の代表として知られている生薬で慢性腎不全の際に上昇する血清クレアチニン値を低下させる働きがあるため『養腎降濁湯』にも必要不可欠です。医療保険内の処方で多く使われる「黄耆(おうぎ)」はアレルギーを起こす人がおり特に腎不全の方ではその確率があがるといわれています。その代用として「晋耆(しんぎ)」が使用されます。
黄耆に比べアレルギーの報告も少なく効果が優れているとされていますが、医療保険外の生薬で値段も高価な為、保険医療機関では処方することができません。自費診療ではこのような制限はないため最適な処方での継続が可能になります。

クレメジンなどの吸着剤を服用中の方

西洋薬と同様に漢方薬も一緒に服用すると吸着剤の効果で漢方薬の効果が現れない為、クレメジンなどの服用時間を変更もしくは服用を中止する必要がありますので腎疾患の主治医の確認了承が必要となります。

自由診療だからこそ可能な処方

先ほど紹介した「晋耆」の他にも『養腎降濁湯』にはその効果に重要な役割をする生薬があります。

  • 「萆薢(ひかい)」身体の過剰な水分(湿)の排出を促し「濁毒」を排出する
  • 「白花蛇舌草(びゃっかだぜっそう)」解毒・過剰な水分の排出を促す

上記の生薬は医療保険適応外生薬ですので一般的な保険医療機関では保険内で処方を受けることはできません。養腎降濁湯は薬局製剤という厚生労働省で認められた薬局で製造販売が可能な処方にも含まれないため処方できません。専門医の診断と保険適応などの制限がない自費診療ならではの処方といえます。

簡単な煎じ薬(IPCD法)
簡単な煎じ薬

漢方薬の煎じ薬と聞くと手間がかかるイメージを持つ人が多いと思います。
実際、通常は煎じるのに30~40分(処方により異なります)ほどの時間がかかります。その上、煎じる際に生薬の匂いが部屋に広がり家族から苦情を言われたり、たくさんの生薬カスが出るなど色々な問題があります。
しかし○○湯と名の付く漢方薬は煎じて飲むことが処方本来の姿ですので一番効果的と言えます。例えば簡便で飲みやすい「漢方エキス剤」と呼ばれる一度に大量生産された粉末や錠剤とは効き目が違います。

真生会漢方外来ではIPCD法という、とても簡単で短い時間で煎じることができる漢方薬の抽出法を採用しています。国内では基礎研究論文が発表され、本場中国でも多くの論文が発表されその効率性や効果も証明されています。
煎じ薬の処方を粉砕し細かくすることで抽出効率を高めているので短時間で煎じ薬を作ることが可能になり、通常の方法で作った煎じ薬とほぼ同等の効果が期待できます。
中でもこの抽出方法が適しているのは「香り成分」が効果に重要な関係がある生薬を使った処方です。例えば桂皮(シナモン)、薄荷(ハッカ)、蘇葉(しそ)などです。
「香り成分」は長時間熱をかけて煮ることで揮発してしまいますが、この抽出方法であればその「香り成分」を十分に残したまま抽出ができるので、通常の煎じ方法より効果が高いと言えます。

何より、お湯と茶こしがあれば簡単に短時間で煎じ薬が作れるので旅行など外出先でも無理なく服薬を続けることができます。

更に、生薬資源の無駄使いを減らすことができるという利点も有ります。
生薬のかさが多ければ多いほど生薬が吸収する水分の量が多くなります。そのため通常の方法では煎じるために多くの水が必要になり、また、せっかくできた煎じ液の多くが生薬カスに吸われて捨てられることになってしまうのです。主なメリットを以下に挙げました。

IPCD法のメリット
  • お湯と茶こしで約5分の簡単抽出
  • 効き目は通常と同等
  • 効き目に重要な生薬の香りを逃がさない
  • 生薬資源の節約になる
  • 煎じる手間が減り負担軽減
湯液の作り方(IPCD法)

慢性腎不全は現在の医療では不可逆性(元の正常な状態に回復しない)とされ、そのほとんどが末期腎不全に進行してしまいます。しかし適切な治療によって末期腎不全(透析・移植が必要な状態)にいたる時期を遅らせることが可能な場合があります。
漢方薬による治療でも同じことが言え、治療は長期戦になります。長く飲み続けるにあたっていくら効果があっても毎日煎じ薬を作る時間は生活の負担になりかねません。しかも紹介した『養腎降濁湯』は使用する生薬の量が多く煎じた後の生薬カスもたくさん出てしまいます。
真生会漢方外来ではIPCD法という抽出効率の良い簡易抽出法に対応した漢方薬の提供が可能です。毎日30~40分かかる煎じ時間がわずか5分弱になり、煎じる時に出る大量の生薬カスも大さじ1杯程度(1回分あたり)に減ります。お茶を入れる感覚で毎日無理なく続けることが可能になります。

医師による連携の安心

そして最も重要なのが検査データなど医学的な診断に基づく経過を見ながら、処方量の調節をすることが必要な為、漢方専門医とかかりつけの腎臓専門医との連携が必要であるということです。
真生会漢方外来では医学的専門知識を持ち合わせた漢方専門医による診察ですので漢方療法での腎不全治療(透析・移植が必要な状態にいたる前段階までの治療)が可能です。診察受診を希望する際は必ず事前にかかりつけの腎臓専門医に相談・了承を得てからご連絡ください。

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自費診療料金表

表の全体がご覧いただけない場合は横スクロールでご覧ください。

  実費費用(税込)
初診料7,400円
再診料5,100円
体組成測定1,100円
基本の血液・尿検査実費
基本薬剤料(1週間分)8,250円
生薬追加料金
(使用生薬により加算される場合があります)
100円~/日あたり
情報通信機器の運用手数料(1診療あたり)1,100円
薬剤郵送料着払い
オンライン診療アプリ利用料
(アプリ運営会社より請求)
330円

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よくあるご質問

漢方療法とは
東洋医学の伝統的な診断方法に基づいて、個々の患者さんに適した漢方薬や鍼灸により症状の緩和改善、健康の維持増進を図る治療を漢方療法といいます。
世界中で都市化が進み、ストレス、アレルギー、慢性疲労など、先進国特有の疾病や生活習慣病が蔓延しています。薬物投与や外科的治療で対処してきた西洋医学では治せない、病気ではないけれど「何となく不調」、そんな症状を訴える人々が子どもから高齢者まで幅広い層で増加しています。
東洋医学は約2千年の歴史があり先人達が積み重ねてきた医学ですが、近年は治療実績として科学的なエビデンスが立証される報告も増えていて、慢性疲労社会の中で古くからの医療が見直され、今では世界中で注目され始めています。
どんな治療をしますか?
一般的に日本で漢方療法というと、漢方薬と鍼灸による治療を主に行います。
真生会漢方外来では漢方を専門に研修した医師により、脈診・舌診・腹診など東洋医学の伝統的な診断方法に基づいて、個々の患者さんに適した漢方薬による治療を行います。この伝統的な漢方薬としては煎じ薬のほか、丸剤や粉薬などを使用することもあります。
また、症状によっては鍼灸治療の併用により相乗効果で漢方薬の効き目を高めたり、症状の早い緩和につながる場合があるため、医師の判断のもと必要に応じて鍼灸施術をおすすめすることがあります。
なぜ自費診療なのですか?
保険診療では使用できる生薬や処方に制限があり、生薬の価格も決められているため治療に最善と思われる生薬を使用できない場合があります。自費診療では制限がないため、診断により得たデータを反映し症状に合わせた最適な漢方薬の処方が可能となります。併せて生薬にもこだわり、保険診療では使用できない高品質の生薬を使用することで漢方療法の効果を最大限に引き出せることがメリットです。
その反面、デメリットとしては費用です。自由診療は全額自己負担なので費用の負担は大きくなりますが、品質が良くまた自分の症状にピッタリ合った漢方薬は治療期間の短縮に繋がることが多いため、効果の実感できない薬を飲み続けるよりは身体への負担の軽減になるかも知れません。
普通の病院の診察とどう違うのですか?
東洋医学の伝統的な診断方法には脈診・舌診・腹診などがあります。
脈診手首で脈の打つ深さ・速さ・緊張状態から身体の状態を判断します。
舌診舌の形・色・苔の状態から内臓の機能や身体の具合を診ます。
腹診お腹の硬さ、抵抗、圧痛などから全身状態と体質、漢方医学的な病態を把握します。
上記のような診断方法に加えて現代医学的な診察、検査を行い、総合的に診断していきます。
どのくらい続ければ効果がありますか?
体質や症状に個人差があるように、漢方療法の治療効果のあらわれ方には個人差があり、一概に明言することはできません。風邪などの急性の病気などは1回の服用で効果がわかる場合もありますが、慢性の病気や難治性疾患などは効果がすぐにあらわれない場合があり、比較的治療に時間を要する傾向にあります。まずは3ヵ月を目安に続けてみましょう。
副作用はありますか?
メディアで取り上げられる副作用は治療者側の知識不足、注意不足によるものが原因と考えられます。
真生会漢方外来では専門知識を持った医師により、現代医学的な検査等で評価観察も併せて行い、十分な注意を払って治療に臨んでいます。しかし、稀に他の医薬品や食品と同様に予想できないアレルギーが出現することがあり、主なアレルギー症状として湿疹やじんましんなどの皮膚症状があらわれることがあります。薬剤全般、食品などにアレルギーを持つ方はあらかじめその旨をお伝えください。その他、胃腸障害、むくみや血圧上昇の可能性もあります。
また、漢方薬の服用によって薬が奏効する前に一時的な悪化を認める場合があり、好転反応あるいは瞑眩(めんげん)といいます。一時的に予期せぬ症状が出ても、そのまま服用の継続をおすすめする場合がありますので、気になる症状がある場合はご自身での判断を避け、早めに医師や薬剤師にご相談ください。
他の治療法や西洋薬と併用はできますか?
ほとんどの漢方薬は、西洋薬と併用できます。しかし西洋薬の中には飲み合わせに注意が必要なものもあり、とくに利尿剤や気管支拡張剤、鎮痛解熱剤など医師の観察判断が必要な場合があります。必ず受診前に主治医に相談するようにしてください。
重篤な疾患等症状によってはお断りする場合があります。

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