


私たちが目指す「優しさ」を組織全体で実践するための、みんなで取り組む挑戦として、適切な目標を設定し取り組みます。

患者さんの苦しみを少しでも取り除きたい。この願いを実現するのは、私たちスタッフひとりひとりの専門職としての実力です。専門性を高めていくことは、患者さんへの優しさをより確かなものにしていきます。そのため当院では、スタッフの自己研鑽を大切にし、専門性の向上に力を入れています。
専門知識や技術に裏付けられた余裕を、患者さんへの優しさへと転換すること。それが私たちの目指す医療・ケアです。
その分岐点となるのが、「他者への関心」と「利他性」です。
このふたつが、専門職としての余裕を、患者さんに届く優しさへと変えてくれると考えています。
同じ場面でも、どこに関心を向けるかによって対応は大きく変わります。
たとえば、認知症の患者さんが点滴を抜こうとしている場面。行動だけに目を向けると、「危ないから」とすぐに身体を拘束するという判断になりがちです。
しかし、患者さんの心に目を向けると、「なぜ抜こうとしているのだろう」という問いが生まれます。痛みがあるのか、トイレに行きたいのか、不安を感じているのか、点滴の説明が十分に伝わっていなかったのか――。行動の背景にある気持ちに関心を向けることで、拘束に頼らない別の対応の道が見えてきます。
当院の看護師が経験した出来事をご紹介します。
せん妄や認知症のある患者さんが、ベッドの下に潜り込んで何かをされている場面がありました。「そんな所は危ないですよ」と行動だけを見て制止することもできましたが、その看護師は患者さんの心に関心を向け、優しく「何をされているのですか?」と尋ねました。
すると患者さんは「車を直しているんだ」と答えられました。実はその方は、長年車の整備の仕事をされてきた方だったのです。その一言から、車一筋に生きてこられたその方の人生が浮かび上がってきました。
私たちはこの想いを理解し、患者さんが気の済むまでその時間を見守らせていただきました。

私たちは「今、この患者さんはどんな気持ちだろうか」と想像し、相手の苦しみや不安に寄り添いながら、できる限り拘束によらないケアを目指しています。
一見不可解に見える行動にも、必ず理由があります。
その理由に気づくことができれば、対応の選択肢は大きく広がります。当院では、こうした利他の心を大切にしながら、認知症ケアや身体拘束の最小化に、病院全体で取り組んでまいります。
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