Vol.5 春号 (発行年月)令和7年3月
本来、消化管にないはずの異物を間違えて飲み込んでしまい、消化管(食道、胃、十二指腸、小腸、大腸)に停滞するのが消化管異物です。
小さく害のないものは自然排出を待てばよいのですが、10~20%で内視鏡(胃カメラ)での摘出が必要になります。
消化管を傷つけたり孔を開ける可能性のある鋭利な異物、角のある薬のヒート、ボタン電池、激痛を生ずるアニサキス虫体などです。
薬のヒート(薬が包まれたアルミとプラスチックのシート、錠剤を押し出すのでpress through pack、PTPとも言われます)をハサミで切って、一つ一つバラバラにしておくのはやめましょう。高齢者や認知症の方でなくても、考え事をしたりあわてていて薬を押し出さず、ヒートのまま飲み込んでしまうことがあるのです。ヒートの角は思いの外鋭く、喉や食道の狭いところに突き刺さることがあります。また、それを内視鏡で取り出す時も、出血、穿孔(孔があく)の可能性があります。
×悪い例
バラバラに切っては危険です。
CTで薬のヒートが食道入口部に写っています。
内視鏡的に除去しました。
CTでは2つの薬のヒートが確認できます。
内視鏡で確認し、2つまとめて取り出すことに成功しました。
薬の管理が難しい場合は、⼀回分の薬を袋に分ける(分包)ことができますので、主治医や薬剤師にお伝えください。
入れ⻭(義⻭)は、金属のバネ(鉤)が付いているタイプは危険です。どのような義⻭を飲み込んだのか、医療機関で詳しく伝えてください。
電池は⼩さくても電気分解で強アルカリを作ることがあるため、⼀か所に⽌まれば消化管粘膜を損傷してしまいます。長時間停滞すれば外科手術で摘出することもあります。
異物でなく食事でも、肉の塊やモチを噛まずに飲み込むと詰まってしまうことがあります。
また、魚骨による消化管穿孔で命に関わることもあります。よく咀しゃくして、ゆっくりと食事を楽しみましょう。
フクラギの魚骨が食道に刺さっています。内視鏡的除去に成功しました。
(ご本人の画像使用許可をいただいています。)
Copyright Shinseikai-toyama hospital All Rights Reserved.