肩関節鏡視像
後方が関節包 炎症を起こし充血した滑膜が広く見られます。治療は急性期では安静、薬物療法として鎮痛剤、ステロイドの内服、関節注射などが有効です。ただし、ステロイドの内服、関節注射は感染のリスクを伴いますので短期間にとどめるべきです。3~6ヶ月程度の急性期期間が過ぎ回復期に入れば、ストレッチなど可動域訓練をすすめていくことによって更に改善に向かいます。
五十肩の疼痛の強い、急性期に行う運動です。
前後左右に、遠心力で腕を回転させる運動です。アイロン体操ともいわれますが、軽いものをもって行うとより効果的です。
回復期の体操 バンザイ体操と呼んでいます。
①:背伸びするようにゆっくり行います。
②:肘を広げるようにストレッチします。
五十肩は放おっておいても治るのか?自然治癒が多い中で、繰り返す痛み、また痛みをかばうあまり、関節拘縮をきたし、高度な可動域制限をきたす方も見られます。鎮痛処置を行いながらリハビリを継続することが大切です。
その中で、肩関節鏡手術が必要になる方、また希望される方があります。
3~6ヶ月程度リハビリを継続しても拘縮に改善が見込めない、そのために仕事や生活に支障をきたす、また社会的な事情によりリハビリを短縮したいと希望される方には関節鏡視下での関節授動術を行います。実際の臨床では五十肩のみで手術に至るケースは少なく、そこに小外傷(転倒、タイヤ交換、犬の散歩中に引っ張られた等)が加わることでさらに痛み、拘縮が増強、あるいは腱板の部分損傷をきたした場合に手術に至ることがあります。Acute on chronic typeと呼んでいます。腱板損傷は、エコーやMRI等で確認します。
実際の例ですが、50代の男性で、50肩で患っていた折、倒れそうになった大型バイクを支え肩に激痛が走りました。MRIでも腱板の関節面(深いところ)の損傷が見られます。
MRI像
腱板の関節面の部分損傷が見られます。肩関節鏡写真
関節内より鏡視、関節面の損傷が見られます。(黄色矢印)このような場合、関節拘縮と腱板損傷を関節鏡視下に同時に治療します。この2つの病態に対しても、術後リハビリを継続することでよい結果を得ています。
肩関節鏡写真
テープ付きアンカーを用いて、スーチャーブリッジ法を行いました。テープで圧着することでより、接触面積が増し、術後の疼痛軽減につながり術後成績も良好です。MRI像
術後3ヶ月のMRIです。肩関節 ;40 (2016) No.2 p. 623-626
太田 悟,駒井 理
JOSKAS (日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会雑誌)Vol43:No.3,637-642,2018
太田 悟
肩関節 ;42 (2018) No.3 p. 686-689
太田 悟,駒井 理
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